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戦争を知る世代
第十二話 目覚めの一端
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カっと辺り一面に一気に広がった。
それと同時にガキを包んでいた炎が、ガキを中心に同心円状に広がる。炎と一緒に巻き上げられる土と風がこちらに向かってくる。その勢いはとても速く、避ける余裕などない。

「なっ!」
咄嗟に手で顔を隠した。
土と風、熱気が身体を駆け抜ける。しかし、熱くはない、暖かいと言えるような感じだ。

その炎はほぼ一瞬で俺達を通り抜けて行った。

なんだったんだ?
自分の身体を見る。特におかしなところはない。怪我をしているわけでもなく、火傷をしているわけでもない。

「「なんだ? 今の・・・?」」
お互いに疑問を口にした。


視線を青い炎に纏われているガキに戻すと、ガキはまだそこに立っていた。動く気配もなく、ゆらりと揺れる青い炎を纏っている。

何をしたんだ、あいつは。

訝しげにあのガキを見る。見ていたところで何かが分かるわけではない。しかし、見ていないと、この得体の知れない不安を落ち着かせてはおけない。完全に自分達の想像越えることが起きているのだ。



!?
ガキがこちらに向かってゆっくりと歩き出した。
一歩一歩を噛み締めるように。

俺たちは咄嗟に身構える。先程までとは気持ちが真逆だ。動員された学徒だと、何も出来ないガキだと、そう思って甘く見ていた。なのに、今はどうしようもない不安をあのガキに対して感じてしまう。

やつは少しずつ、少しずつ、歩くスピードを速め、次第に走り出した。そんなに速い訳じゃない、最初に俺に突っ掛かって来たときよりは速いが、目で追えないなんてレベルではなかった。

これなら返り討ちに出来る。自分のこの変な気持ちはどうしようもない思い違いだったに違いない。そう、確信した。いや、確信させたのかもしれない。


ガキはそのままの勢いで俺に突っ込んで来る。
・・狙いは俺か!?
周りの仲間は身構えたまま動く気配がない。俺で相手の動きを見ようって腹か?ー冷たい奴等だ。

そんなことを考えている場合ではなかった。
もう、すぐ近くまで迫っている。

とりあえず、初手は避けなくては!
相手がどうでるか分からない、真正面から攻撃を受けるなんてバカのすることだ!


俺はすっと、右に避けた。そして、そのまま手に持っていたクナイにチャクラを流し、斬撃の威力を高めてガキ目掛けて振り落とす。

・・・当たったはずだった。
俺のクナイがやつに当たり、皮膚を引き千切り、首をぶった切ったはずだった。


なのに、
降り下ろした先にはガキはいない。

なせだ?
ガキは真っ直ぐ突っ込んで来たはずだ。なぜ、いない?
そう思ったのと同時に、右頬に鈍い痛みが走った。
その殴られた勢いで体が左側に回りながら、足が地面を離れるのが、体が宙に浮くの
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