第十二話 目覚めの一端
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酸素を体に取り込もうとする。
これは・・・なんだ?
誰のものだ?
心の中で疑問を自分に問いかける。
わかっている・・・何となく、それが誰のものなのか分かっている。しかし、自分の気持ちがそれを否定する。そんなことがあってたまるものかと。そんなものが信じられるかと。
「きゃ、きゃあああ!」
甲高い叫び声が聞こえて、僕の意識を呼び戻した。
どうやら、ハナが袋の中身を見たらしい。
・・・叫びたくなる気持ちもわかる。
ハナはそのまま崩れ落ちて、座り込んでしまったを捉えた。頭を両手で抱えて、ふるふると身体を震わせている。何かしてあげたいが声だけじゃない、身体も言うことを聞かない。
カタナは袋の中身からから目を離さそうとしない。いや、離せないでいるのかもしれない。
「言わなくてもわかるだろ? あ、でも言ってほしいか?」
バカにしたような、ゲスい声で僕たちに問いかけた。
何も答えられない。
何か答えてしまえば、最悪の答えを肯定してしまうような気がしたからだ。
「はっ、黙ってたって何も変わらねーよ! これはお前らの仲間だよ!あの爆発でバラバラに吹っ飛びやがった!頭も、腕も、足も、ぜーんぶバラバラだぁ!きたねぇー花火だったぜ!」
!?
あ、あぁ、あ、あぁ・・・そんな、
何だよ・・・それ。
そんなの嘘に決まってる。嘘に・・・決まってる!
質問された時から何となくそうかも知れないと感じていたが、いざ他人から聞くと信じられない事だった。
キッ と岩隠れの忍を睨み付けた。何も出来ない自分が悔しい。助けられなかった自分が悔しい。自分の手を痛いほどに握っていた。血が垂れているのかもしれない、何処と無く濡れているような感触がある。
ふと、皆の顔が見えた。ーーーーーーーーーーーーーー
僕が あさのは隊長に食って掛かったあの時、皆は僕を励ましてくれた。
「そうだよ、大丈夫大丈夫!」
「ってかイナリって、あんなに言うタイプだったっけ?」
「俺がいるから大丈夫!」
皆、体が震えているのに僕を想ってくれた。
ぎこちない笑顔で笑いかけてくれた。
なのに僕は応えられなかった。ーーーーーーーーーーーー
どうしようもなくて、何もしようもなくて、ただただ、体を震わしている。悔しい気持ち、苦しい気持ち、悲しい気持ち、色んなものが心を渦巻いてどうにかなってしまいそうだった。
その気持ちを何とかしたくて、誰かにぶつけたくて、僕は目の前の岩隠れの忍に飛びかかっていった。武器も持たずに、血が滲む拳を相手に向かって突き出そうとした。
「 うわぁぁぁ!」
何も考えていない。ただ、突っ込んだだけ。
何も出来なかった自分が許せなくて、
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