第十二話 目覚めの一端
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第十二話 目覚めの一端
火の国暦60年7月8日 早朝 暁の森
ふしみイナリ
「あれ?まだ生きてるやついるじゃん。」
振り返ると、そこには岩隠れの忍が4人立っていた。
?!
気づかなかった。
声をかけられるまでまったく。僕の頭の中のイメージにも反応しなかった。
元々、この力は意識していないと分からない。ましてや、毎回きちんと使えるわけでもない、不安定なものだ。
「あの爆発でこの程度の怪我? おかしくない?」
そのうちの1人が僕たちを見ながら言った。
訝しげに、納得のいかない顔をしている。
「確かにな・・・あの術の効果でこれはおかしいな。現にバラバラに吹っ飛んだやつがほとんどだったしな。」
「まったくだ。なんだ、こいつら?」
4人が顔を合わせて、それぞれに疑問を口にする。
彼らに身構えている様子はない。
あの術の効果・・・確かに大きな爆発だった。それほどの術だったのだろうか。・・・それでも、私たちは軽症と言えるレベルだと思う。
・・・ん?
今・・・なんて言った。術の効果の後・・
ドクン、と心臓が大きく脈打った。
「な、何がほとんどだったって?」
声が震える。鼓動が一段と速くなる。
「あぁ?なんだ?」
4人の視線が僕に集中する。急に話し掛けられたことに驚いているようだ。
「ば、バラバラがどうのって・・・」
「あー、あはは! なんだ? お前たちまだ見てねーの?」
彼らは納得が言ったように顔をニヤつかせて笑い出した。
それは見ていても、聞いていても、不愉快極まりないものだ。
なぜだ、なぜ笑っている?
言葉に言い表せない不安が心を渦巻く。ゆっくりとゆっくりと、でも少しずつ大きくなりながら渦巻いている。
いつのまにか僕は手をぎゅっと握りしめている。その手の中は汗でびっしょりで、とても不快だった。
「見せてやれよ、チカク。」
チカクと呼ばれた人物が先程から手に持っていた袋を僕たちの前に投げ捨てる。それは地面に落ちた拍子に中身が飛び出した。
赤黒い液体がドロォっと流れ出てくる。まるで、地面を侵食するかのように少しずつ少しずつその面積を大きくする。その赤黒い液体が出てくる袋には・・・人の腕が入っている。腕の先には・・手があり、指がある。腕だけじゃない、人の足のようなものまで見える。
「!? っー・・・」
何かが喉に詰まったように言葉がでない。それを見ている視界が次第に歪んでくる。それでも僕は、その袋の中身から目が逸らせない。
は、はぁ、はぁ、は、はぁ、
呼吸が苦しくなってくる。
息がうまく吸い込めない。それでも肺が酸素を欲していて、無理やり
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