暁 〜小説投稿サイト〜
ストライク・ザ・ブラッド〜魔界城の主〜
02:第四真祖の優雅じゃない日々
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 絃神島。それが、太平洋のど真ん中、東京南方海上三百三十キロ近くに浮かぶ人工島の名前だ。ギガフロートと呼ばれる超大型浮遊体式構造物を連結して造られた、完全な人口の島である。総面積は約百八十平方キロメートル。総人口は約五十六万人。行政上は《東京都絃神市》と区分されているが、実際問題、東京都とはほとんどつながりのない独立した都市である。

 暖流の影響を受けた気候は穏やかであったり日照りであったり。どちらにせよ、気温は真冬でも20度を超える。つまり、常夏の島なわけである。

 ただ、この島は決して観光スポットなわけではない。それどころか、入島にも離島にもかなり厳重な審査があり、ただの観光客が訪れることはほとんどありえない。

 そして、この島の構成物は、金属や樹脂だけではない。最新技術を結晶して造られたカーボンファイバー、そして《魔術》――――

 絃神市が学究都市として機能している理由の一つとして、この島が特別な区分に分けられているという事実がある。

 《魔族特区》。《聖域条約》によって定められた、魔族が人間と同じように暮らせる土地である。人間の中には魔族をいまだ嫌悪する者もいるため、そう言ったものからの迫害を逃れるためには魔族特区は非常に重要であった。

 絃神市は、ありとあらゆる魔族を保護してくれる。そう、たとえそれが、《世界最強の吸血鬼》なんて馬鹿げた肩書きを持つ、《第四真祖》だとしても――――。


 ***


「あああぁ〜……熱い……焦げる……灰になる……」

 時は十月のはじめ。時間は正午近く。昼食時である。込み始めたファミレスの一角。はこばれてきたばかり冷や水の置かれた、窓際のテーブルに複数の男女が腰かけている。

 ひとりは、髪の毛が灰色がかっていることを除けば取り立てて特徴のない少年である。それなりに造りのいい顔ではあるが、さほど美男子なわけでもない。加えて纏う気だるげな雰囲気が、その作りの良さを台無しにしている。

 その隣で、灰色の髪の少年の汗を拭いているのは、黒とも茶色とも取れない髪の毛の、綺麗な顔立ちの少女だ。どこか儚げではあるが、弱そうではない。鍛え上げられた刀の雰囲気である。立てかけられたギターケースが、恐ろしく不自然である。纏う服は通っている学校の制服だろうか。

 少女の行いをどこか不機嫌そうな表情で眺めるのは、華やかな金髪の少女だ。制服は黒髪の少女の物と同じ形状だが、リボンではなくネクタイが付いている。良く着崩された制服は、金髪と相まって非常に良く似合っている。不思議とけばけばしさを感じないのは少女のセンスゆえか。

 最後の一人は、つんつん髪の茶髪の少年である。体格は灰色髪の少年と同じくらい。何かを企んでいるようなシニカルな表情を浮かべている、軽げな少年だ。使い古
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