02:第四真祖の優雅じゃない日々
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された、性能のよさそうなヘッドフォンを首にかけている。
「ファミレスのクーラーをこれほどありがたく思った日はないぜ……」
「確かに今日はいつにもまして暑いですよね。あ、先輩、コップを倒さないように気を付けてください」
灰色の髪の少年の名前は暁古城。黒髪の少女の名前を姫柊雪菜という。暁古城は、一年前、《第四真祖》と呼ばれる、『世界最強』の吸血鬼という馬鹿げた称号を譲り受けた少年である。いまだその力を制御しきれない彼を監視するために、魔導犯罪を取り締まる秘密組織《獅子王機関》が送り込んできたのが、この姫柊雪菜という、一歳年下の少女だった。彼女は古城の『監視役』であるという役目に、従順すぎるほど従順に従っており、どこに行くときもストーカーか
何かの様に付きまとってくる現状であった。
だが、雪菜の存在がなければ、古城が生きていられなかったかもしれないのはまた事実だ。彼女には一か月ほど前、ロタリンギアの殲教師、ルードルフ・オイスタッハとの戦闘のときに、第四真祖の《眷獣》を支配するために血を吸わせてもらっている。その後の古代兵器ナラクヴェーラとの戦闘でも彼女の力を借りているのだ。
「夏休みが終わってもう二カ月近くもたってるのに、まだ宿題提出してないから罰が当たったのよ」
「案外この天気も那月ちゃんの仕業だったりして」
にやにや笑いながら言うのは、古城の友人である藍羽浅葱と矢瀬基樹だ。中学時代からの同級生であるこの二人とは、実に腐れ縁である古城。
基樹の口にした那月ちゃん、というのは、古城たちの担任教師である、南宮那月のことだ。自称二十六歳だがどう見ても十代前半の幼女の姿をしており、さらにTPOをわきまえない豪華なゴシックドレスに日傘というワケの分からない格好をした、尊大な口調の少女(?)だ。国家攻魔師でもある彼女は、古城が第四真祖であることを知りながら、彼の正体隠蔽に協力してくれる数少ない恩人の一人である。ただ、暴力的なまでに古城に追試や罰ゲームを課すことを除けば。
「おいおい、冗談じゃないぜ……」
「あながち冗談にも聞こえない所が南宮先生の恐ろしい所、でしょうか……」
より一層顔を青ざめさせる古城。その時、丁度良く注文していた飲み物や料理が運ばれてくる。浅葱が嬉々として料理に喰いつく。彼女はその細い外見のどこに入るのかというほどの料理を食らう、大食いなのであった。
古城の方はといえば、はこばれてきた炭酸飲料をもはや自分で飲む気力も無く、ぐったりと伏せる。雪菜が時々ストローで飲ませてくれなければ、脱水症状で死んでいてもおかしくはない状態だ。それを見て基樹が「おーおー、仲がいいこって」と呟いてい
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