例えばこんな仲直りの仕方はズルイと思う
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がつくほどの電圧を放つ生物はデンキウナギに代表されるごく一部の魚類しか存在しない。だからそんな名称の生物は存在しないはずだ。
でもゴエモンはそれがまるで存在するものであるかのように私に語りかけた。ならメモリーにないだけで存在するのだろうか?それとも生物ではない?わかんない。
「デンキヒツジってなぁに?」
その言葉を聞いたときには、私の躰はもうゴエモンに抱きしめられていた。何が起こっているのか分からなくて取るべき行動の算出にエラーが大量発生する。
けれど・・・数日ぶりのゴエモンの体温。ゴエモンの脳波。心拍数。体臭。視覚情報。健康状態。前回に観測したゴエモンとの差異。そして、ゴエモンと接触することで湧き上がる、人間でいう脳内麻薬のような解析不能の感情が胸を満たしていく。思考が真っ白になっているはずなのに、思考回路中枢の発熱は急激に増加し、今までの不安は何だったか分からなくなってゆく。
―――これが、幸せってことなのかな?ゴエモンと一緒にいていいのかな?そう聞きたくて声を出そうとする私の耳元にゴエモンが囁いた。
「俺から抱きしめたのは初めてかな?」
ゴエモンが私を、抱きしめた?私がではなくゴエモンが?人間にとって抱きしめるという行為は、対象に対する好意を表現するためであって、それがゴエモンが私を嫌いになっていないことの証明であって、それでそれで・・・・・・ゴエモンは、特別に好きな人にすることだって。
特別好き。
私のことが。
一緒にいていいんだ。
暖かくていいんだ。
ゴエモンに寄り添っていいんだ。
解析不能のバグがOverheatという文字を持って私の思考を埋め尽くした。
「ふみゅぅあぅ〜・・・」
未だかつてない熱暴走と安堵と、機械が人に抱いてはいけないはずの欲求にコントロールを乱された私は、そこで一度機能保全のために意識を失った。
よくわからないけれど、電気羊は幸せの青い鳥の仲間だと思う。
9月23日 山田先生の教育日記
気のせいだと思いたい。思いたいんだけど・・・ゴエモン君の話を聞いてから、どうしても小村センパイが連れていた子供たちの事が頭を離れない。
名前までは聞かなかったけど、髪の色と瞳の色は私が見た子供たちのそれと一致している。特にあの特徴的な瞳の色。だとしたら、2人を迎えに来たのはセンパイかもう一人の女の人?だとしたらどうやってそこまで?いや、そもそもそうだとしたらセンパイたちは学園に侵入するという国際的な犯罪を犯していることにならないだろうか?
センパイが犯罪者だなんて、嘘ですよね?
もしもセンパイが私の前に立ちはだかったら、私・・・学園の教師として仕事を全う出来るの?
『真耶のセンパイですか・・・相手にとって不足在りませんね!』
「
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