暁 〜小説投稿サイト〜
緋弾のアリア0/D  No.0 & DollMaster
絶望の宴編
首斬り人形
1幕 『惨殺』
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人形』の動きが数秒だけ停止した。

 そして今の俺には攻撃するにはその数秒で充分すぎる。

 俺は右手を『木製人形』の腹の部分に当てる。そして命じた。

 ――――『消えろ』と。

 『木製人形』は腹の部分がごっそりと消え去り、原型を保てなくなった。

 その光景に驚愕している少女に俺はまたも一瞬で肉薄し、首筋に手を当てる。

「……で、まだ続ける?」

「……」

 あらら、だんまりですか。

 すわ、まだこの姿でいなきゃいけないのか。と思ったが、俺が何かアクションを起こす前に少女が口を開く。

「……いいわ。今回は私の負け」

「そうか。そりゃ賢明だ」

 俺は少女の首元から手を放し、少し距離を取る。

 よかったー。これでもう元の姿に戻ってもいいよな。

 俺が再び集中して、今度は元の姿に戻ろうとすると、少女が話しかけてきた。

「……私、あなたのこと気に入った。名前を教えて?」

「え?えーあーあのーそのー」

 どうしようかな。名前を教えてまた絡まれたりしても厄介だしなー。

 数瞬迷った末に、俺は少女に名前を教えることにした。

天樫(あまがし)ゼロ。これが俺の名前だ」

「……そう。天樫ゼロ、いい名前ね」

「お褒めにあずかり光栄ですよ。じゃあ俺も聞くが、おまえはなんて言うんだ?名前」

「……私?私の名前は――――」

 この時の俺はまだ知らなかった。この少女との出会いが、俺の平穏な日常を奪い去っていくきっかけとなることを。

 そして少女は紡ぐ。7文字の名を。

「――――神代(かみしろ)夕奈(ゆうな)。それが私の名前」

 こうして俺と彼女は――――『No.0』と『人形遣い』は出会い、物語の幕が上がった。

 最低最悪の、憎悪と絶望に満ち溢れた物語が。

 ――――はじまった。
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