暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
コラボ
〜Cross world〜
cross world:交錯
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うららかな日とはこういう日を言うのだろうか、と《剣聖》ソレイユはコーヒーが入ったカップを傾けた。

イグドラシルシティの大通りに面しているオープンテラスには、春真っ盛りの良く言えばほのぼのとした、悪く言えば平和ボケした陽光がさんさんと降り注いでいた。

その中でゆっくりとカップを傾けているのは、一人の線の細い少年だった。

闇をそのまま取ってきたかのような二つの瞳と、長すぎて後ろで束ねている髪の色も漆黒。グレーのシャツに黒のコート、いくらか色落ちした黒色のジーンズという、総体的に見ればかなり黒尽くめな服装。

ずず、と。

最近オープンしたプレイヤー運営の喫茶店の、自慢の紅茶(キャッチコピーは『革命を起こそうぜ!』)をひとすすりした後、ソレイユは顔をしかめた。

「………マズい」

紅茶にしては砂糖が効きすぎている。イチゴミルク級といえば、その凄さが伝わるだろうか。

いずれにせよ、本場のイギリス人はおろか紅茶にはうるさくない人でも怒り出しそうな味だ。革命を起こしていると言えば起こしているが。

カチャ、とテーブル上にカップを置いて、もう二度と手は付けまいと誓いながらソレイユは視線を己の視界の隅に向けた。

そこにあるのは、簡素な字体で表示されたシステムクロック。

ALOでは、このシステムクロックは任意でいくつかカスタマイズできるのだが、ソレイユのものはデフォルトのままだ。理由はとてもシンプル。面倒くさいからだ。

「遅いな、アイツ」

ポツリと呟いた後、少年はテラスの外に面している大通りに眼を向ける。

火妖精(サラマンダー)水妖精(ウンディーネ)風妖精(シルフ)土妖精(ノーム)闇妖精(インプ)影妖精(スプリガン)猫妖精(ケットシー)音楽妖精(プーカ)鍛冶妖精(レプラコーン)

アルンに次ぐ第二の首都といっても過言ではないイグドラシルシティならではの、多種多様な妖精九種族が石畳の上をすれ違っていく。

その関係も、単なる友達関係から始めまり、商売相手、お客の関係。その中でも異種族間でのカップルが一際輝いているようにも見える。央都以外の都市ではなかなか見られない光景だ。

───俺達もあんな風に見えるのだろうか……?

突然そんな事を思い、うーむと唸るソレイユ。しかし、彼の周囲の人間は口を揃えて言うだろう。今更言うか、と。

数秒間固まり、何を思考したのかボリボリと後頭部を掻き、つい数十秒前に誓った内容を綺麗サッパリ忘れて再びカップに手を伸ばす思春期真っ只中の純情少年。

しかし幸か不幸か、伸ばした指がカップに掛かる寸前で、大通りの中から声が聞こえた。

大勢の声の中でも、光り輝くその声が。

「ごめんね、
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