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Fate/EXTRA IN 衛宮士郎
再会
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黒のニーソックスを履いている。逆にミニスカートとニーソックスの隙間から見える太腿の白さが際立つ。
普通なら派手にしかならないそれらの格好が、彼女にはとても似合っている。間違いない。見間違いようのない。俺はそんな人物を一人しか知らない。

「遠………坂………?」

彼女は遠坂凛だ。
俺の魔術の師匠であり、アーチャーの元マスターであり、現在セイバーのマスターでもあり、そして、俺の恋人でもある遠坂凛。俺の知る遠坂凛と、この世界にいる遠坂凛。
ほとんど同じ外見と服の趣味に、期待してしまう。遠坂なら俺を【衛宮士郎】を知っているんじゃないかと………………。

「……あれ? ちょっと、そこのあなた」

ずっと立ちすくんで見つめていたからか、遠坂は俺の存在に気がついた。遠坂の顔を真っ正面から見たせいか、意志の篭った目が和らぐ。思わず周りを見回すが、屋上には俺たちしかいない。

「……俺か?」

恐る恐ると言った感じで遠坂に尋ねる。

「そう、あなたよ」

彼女の目がこちらを見てふっと和らぐ。俺に対する警戒心が、少しだけゆるんだろう。

「ッ!!」

しかし、俺はそんなところではなかった。原因は、遠坂の対応をだろう。やはり桜と一成と同じように俺とは初対面ということを如実に表していた。

「……そういえば、キャラの方は、まだチェックしてなかったわよね。うん、ちょうどいいわ。ちょっとそこ動かないでね」

遠坂はこちらに寄ってきたかと思うと……俺の頬に彼女の指が触れる。
細く、柔い指。俺の知っている遠坂に似ているが、この遠坂はまだあどけなさの残る少女である。俺の記憶にある遠坂とは違うということを改めて実感する。

「へぇ、温かいんだ。生意気にも。……………あれ? おかしいわね、顔が赤くなってるような気がするけど……………」

少女の顔が鼻先3センチまでぐっと近づく。その距離に、心臓がどきりと鳴ってさらに俺は動けなくなった。頬にかかる微かに温かい吐息。
首筋を掠める風に流れる長い髪。
無遠慮に肩やお腹をぺたぺたと触る指。
どれもが俺を混乱させ、動きを束縛する。頭の中は真っ白になり、ドクン!ドクン!と心臓の音は、やけにうるさい。

「…………………なるほどね。思ったより作りがいいんだ。見掛けだけじゃなく感触もリアルなんて。人間以上、褒めるべきなのかしら」

彼女が顔をしかめつつ、誰もいない後方を振り返る。恐らく姿は見えないが、彼女のサーヴァントがそこにいるのだろう。

『くっ、はっ!』

……………………俺の後ろで座りながら笑いをこらえ、アーチャーみたいにな……………ってあれ?こいつこんなキャラだっけ?

「……ちょっと、なに笑ってんのよ。NPCだってデータを調べておいた方が、今後何かの役に……」
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