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銀河英雄伝説〜美しい夢〜
第九話 ベーネミュンデ侯爵夫人(その3)
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が開いてアンスバッハ准将とシュトライト准将が入ってきた。恐る恐るといった感じだ。これで多少は怒りを分散できる。席を立とうとした所でエーリッヒに手で制された。やむを得ず席に座りなおした。

「二人とも座ってください」
エーリッヒの正面には座りたくない。席を譲ろうとした時だった。二人が俺を挟むように席に座る。ちょっとそれは酷いだろう。二人の顔を見たが二人とも知らぬ振りをしている。

多分二人とも適当に時間を潰してから来たに違いない。どう対応するかも検討してきたのだろう。俺に貧乏くじを引かせるつもりだ。
「コルプト子爵は帰りました。かなり慌てていたようです。おそらくはリッテンハイム侯の元へ向かうでしょう」
「リッテンハイム侯に連絡を取りました。分かったと言っておられました」

シュトライト、アンスバッハ両准将の報告にもエーリッヒは無言で頷くだけだ。准将達もそれ以上は何も言わず控えている。二人の准将が俺を挟んで顔を見合わせた。何考えてる、頼むから余計な事はしないでくれよ。

「ところで閣下、上級大将に昇進された事で陛下より閣下に艦が下賜される事になります。艦について希望が有るかと宮中より連絡が有りましたが……」
「ミューゼル提督にはブリュンヒルトという艦が下賜されるそうです。実験艦ですがなかなか良い艦だと聞いています。閣下がお望みなら同型艦を用意すると……」

シュトライト准将もアンスバッハ准将も最後まで言えない。気を逸らそうと言うのが見え見えだ。子供じゃないんだから艦を貰えば機嫌が直るなんて有るわけないだろう。返って機嫌を損ねるだけだ。頼むから子供扱いは止めてくれ、エーリッヒはその辺りは敏感なんだ。

「必要ありません」
ほらな、怒っているじゃないか。口元に笑みは有るが目は笑っていない。人食い虎みたいな笑顔だ。
「ブリュンヒルトなら知っています。コスト度外視で造った実験艦ですよ、あれは。実験艦は一隻で十分、二隻あっても無駄です」

その通りでございます、公爵閣下。馬鹿な二人の准将には後できつく言っておきますのでそろそろお許しください。
「適当な艦を選んでもらって結構です。条件は高速戦艦である事、通信設備が充実している事。その二つが満たされていればどんな艦でも構いません」

要するに戦える艦を持ってこいというわけだ、飾りは要らんと。ヴィルヘルミナ級は止めた方が良いだろうな。あれで良いなら最初から指名したはずだ。適当なのが有れば良いんだが……。

俺達が開放されたのはそれからすぐの事だった。大公夫人が現れエーリッヒをお茶に誘ったのだ。俺達も誘われたが当然遠慮した。家臣の分際で主君と同席など怖れ多くていかん、分をわきまえないと。

「酷いですよ、お二人とも。小官を矢面に立たせるとは」
「卿は公爵閣下の親友なのだ、当
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