デジャヴから起こる始まり
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しあぐねているかのように遠巻きに担任教師を取り囲む生徒達の視線は、やがて一人の男子生徒に注がれた。
生徒や教職員らはもとより、校長先生までもが直々に”人喰い虎の飼育係”に認定している猛獣使い、俺こと衛宮士郎だ。
「頼むっ!お前しかいない」
少し離れた位置にいる席の一成が手を合わせ頼んできた。藤ねえは、一成でも制御するのは無理だからな…………。
「はあ、わかったよ」
この眠れる虎を一撃で叩き起こす方法をここにいる全員が知っている。
だが、事後処理のことを考えると、それを実行できるのは俺をおいて他にいない。
(本当に世話のやける)
おもむろに藤ねえに近付き、俺は自ら虎の尻尾を踏んだ。
「起きろ馬鹿虎ーーーーーーッ!!」
「虎いうなああーーーーーーッ!!」
効果は抜群。即座に反応し跳ね起きた怒れる虎は自身を侮辱した音源に向かって出席名簿を打ち据え
パシッ!
「「「おおっ!!」」」
音源に真剣白羽取りで阻まれた。 周囲が驚嘆のどよめきをあげる中、そのまま睨み合う虎と猛獣使い。
「んんんっ…………士郎!学校では藤村先生と呼べっていつもいってるでしょう!しかも言うに事欠いて馬鹿虎とは何事かっ!」
「だったら、俺のことも士郎って呼ぶなよ。遅刻した上に勝手にすっ転んで気絶しやがって。藤ねえの気付けにはこれが一番効果的だろうが!」
「にゃにおう!へっ、気絶?」
周囲を見渡し、生徒達が遠巻きに取り囲んでいるのにやっと気がついた藤ねえは、
「ほらほらみんな何してんの。出席を取るわよ!」
出席名簿を打ち鳴らし、何事もなかったように皆を促した。しかし、周りの生徒たちはコソコソと小声で囁き出す。
「気絶したことはごまかす気?しかも、馬鹿虎発言もスルーみたいよ」
「シッ!聞こえるから、知らんふりしとけ。報復を受けるぞ」
「でも受けるとしても衛宮じゃん」
「いや、かわいそうだろ?」
「そうはいっても、この中でとr・・・・いや、藤村先生の報復に対処できるのは衛宮だけでしょ?」
確かに、家に帰ったら俺は報復を受けるかもしれないが、やられたらこっちにも考えがあるので、気にはしてない。
「それじゃあ、みんな今日も頑張ってね!」
藤ねえはそれだけ言うと教室を出て行ってしまった。そんないつもと変わらない日常に俺は安堵を覚える。このまま、何もなく平和に暮らせるということは当たり前に見えて意外と難しい。このままずっと……………
(ごきげんよう、衛宮くん)
(問おう。貴方が私のマスターか?)
「ッ!!」
まただ……………最近よくこのような女の子達の幻聴が聞
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