6:調査
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ぐに麻のフードが先程と全く同じ動作で首が横に振られる。突然話題を振って、また少しでも感情らしい仕草で素性が僅かでも分かれればと思ったのだが、残念。
カバーも極めて粗雑なものだが、中の武器もそうとは限らない。もしかしたら、思いもよらぬ強力な武器が顔を覗かせるかも知れない。俺としては、むしろそっちの可能性を意識してしまうのだが……相手のノーの鶴の一声が出てしまっては、仕方が無い。
俺は「そうか」と短く返事をして軽く首を振り、更に次の容疑者へと話を振る。
「さぁ、残るはハーラ……片淵変態さん、アンタの番だ」
「何故言い直したのかね!? しかも何だね、片淵変態って!?」
「ハハハ、素早く的確なリアクションをありがとう」
「……私をいいオモチャにして遊んでないかね? 不本意だよ、まったく」
「いや、ほんの冗談だよ。あんたのツッコミが板について来たもんだから……つい、な。それで、武器、見せてもらえるかな」
「そうだね、私の名をちゃんと呼んでくれれば応じようじゃないか」
「――頼めるかな、ハーライン」
「……くっ、何故私は男相手に爽やかな笑顔でデレられているのだ……!? こんなことなら、リズベット君にでも頼めばよかった…!」
「はいはい、それじゃあ見させて貰うからねー」
「あっ、ちょっと君っ!」
リズが彼の背中からスルリと流石に慣れた手付きで武器を抜き取った。
「……うわー、カバーまでゴチャゴチャ刺繍つけちゃって、趣味ワル……」
「って、さり気なくディスられてる気がするのだが!? ハァ……まぁ、君になら丁重に扱ってくれるのなら、別に構わないがね」
リズベットに武器を取り上げられながらも尚、ツッコミに妥協を許さないハーラインを他所に、俺はカバーを外されるリズベットの手を見守った。
「フフフッ、鑑定ついでに、あんたの過剰装飾を皆の前で逐一、念入りに、ボロッボロに叩いてやるわ。さっきからあたしやアスナ達にセクハラしてた仕返しよ、覚悟しておきなさい」
カバーまでシルクのように良質の布らしいそれが、武器を端から、スルスルと滑らかに姿を露わにしていく。
「――さーて、一体どんなヘンテコデコレーション武器が出て来る……の、かし……ら……――――。」
そしてついに刃先まで全貌が明らかになった瞬間、リズベットを含む全員がその予想外の姿に息を呑んだ。
『―――――。』
その場の全員がその矛先に注目し、一時の静寂が訪れた。
その中で唯一、ハーラインだけが誇らしげに腕を組んでいる。
その武器は槍に似た――実際に槍カゴテリに属するのだが――帯広の刃を持つ《矛槍》と呼称されるタイプの武器だった。だが、俺達が絶句しているのはその点ではない。
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