6:調査
[4/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
「ふむ……。分類はツーハンドランス、武器名は……『ダボウ』ね」
「ダボウ? 変わった名前だな」
「蛇に矛と書いて《蛇矛》と読むんだ。実の所コイツぁ、実際に存在する武器なんだぜ。覚えときな」
俺の問いに答えたのはリズベットではなく、その矛の持ち主のデイドだった。
リズベットもそれに頷く。
「見て、刃が蛇のように曲がりくねっているでしょ? これは突き刺した敵の傷口を広げる為にこんな形をしているんだけど……SAOでもその特徴が引き継がれてるのかな。突くことでダメージボーナスがある代わりに、それ以外の動作……薙ぎ払い等のアクションだとダメージがマイナスになる仕様になってる。でも何より特筆すべきはこの長さね……SAOの武器リーチ設定の限界ギリギリまであるわ」
俺もここまでの長さの武器を見るのは初めてかも知れない。持ち主の身長も170はあるだろうが、優にその倍の長さを誇っている。
「現実じゃ、一説には6m級の物もあったらしいがな。だがこの世界じゃ、流石にバランスシステム上、この辺が限界だ」
デイドは空に向かって高くそびえる湾曲した刃を眺めつつ、そう付け足した。
「それだけじゃないわね。ええっと……刃に塗布した毒の威力や効果をブーストする特殊効果もあるみたい」
「その通りだ。オレが相棒にコイツを選んだ理由は、ここにある」
ヒュッ、と空に向けていた刃をそのまま降ろし、俺の眼前でピタリと止めた。まさに蛇行する赤銅色のそれは、よく見れば数本の溝が走っている。恐らくここに毒が塗りこまれ、敵を仕留めるのだろう。まさしく……
「……蛇、そのものだろう?」
デイドが俺の心の感想を先読みした。その顔はニヤリと舌なめずりをし、犬歯を覗かせている。
……俺はこの男を少し誤解していたのかも知れない。猛禽類の様だと思っていたその顔は、言われてみれば……それこそ蛇の様な、爬虫類的なそれで、覗く犬歯は毒を湛えた牙にも見えた。
「でも、バカに重いし柄も太いから扱い辛そうね。しかもリーチに特化しすぎて、攻撃力自体かなり低いわ。毒での威力ブーストを前提にした攻撃値みたいだから、普通そんな武器使う人なんて居ないわよ」
「おーおー、言ってくれやがって。……いいんだよ。毒は素材さえあれば幾らでも造れるし、まさにオレの為にあるような武器だ。もしかしたら、テメェらにはすぐにでも……コイツが猛威を振るう所を見せてやれる時が来るかも知れねぇな」
蛇の舌なめずりの様に、俺の目の前で曲刃が何度か軽く踊らされた後、毒々しい赤に染まった槍は、持ち主の背に仕舞われた。
「その時が来ない事を祈るよ。……次はそこのアンタだ。もし良かったら、武器のカバーを除けて、此方に見せてくれないか?」
す
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ