6:調査
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だろ。つーか、そこの全部オレが調合したモンだ。わざわざクソ高い毒を調合士が買い漁るかよ」
軽く笑い飛ばしながらデイドは答える。だが、俺の頭の中はチリリと静電気を立てるかのように脳内ハードディスクが高速回転する。
……確か、死神はユニコーンを襲う者の内、一部は麻痺状態に追い込んでまで撃退していた筈だ。
SAOにおいて毒薬は総じて相場価格が高く、特に高効能の物にでもなれば、おいそれと手に入るものではない。今回の事件のようにしばしば使うようであれば、あっという間に瓶の中身は枯渇してしまうだろう。
……調合スキルを駆使し、量産でも出来なければ。
「おい、まさか……その中に、オレの疑惑が増えちまうモンでもあったってのかよ?」
察したらしいデイドの声に、俺が答えられないままでいると、
「……クソッ、クソッ! なんでこうなっちまうんだっ……!」
意を察したのか、苛立たしげに足元の小石を蹴飛ばした。同時にウィンドウが閉じられる。
俺は少しだけその様に憐れみながら、その横へと視線を滑らせた。そこには突っ立ったまま、微動だにしない麻フードの姿がある。
「ええと……あんたはどうだ、良かったらアイテム一覧を見せてもらえないか?」
「……………」
無言のまま、軽く何度か頭を横に振るジェスチャーで否定の意を示す。まだ仕草で返事してくれるだけマシだと思っておこう。
「だよな……。じゃあ次の質問……いや、取調べだな。――武器を調べたい。隠している二人は、武器を見せてくれると助かる」
「まぁ……さっきと比べりゃ、まだマシだな。オレはコイツを隠してねぇし、話も早く済みそうだ」
溜息と共に気を取り直したデイドが、背から槍を引き抜く。
「リズ。鑑定スキルを頼めるか? 外見だけじゃなく、特性も知りたいんだ」
俺の言葉に、リズベットがハーラインから逃げるようにそそくさと傍へ駆け寄って来る。
「ホラ見なさい。やっぱりあたし達の助力が要るんじゃない」
そしてニヤニヤと眺めてくるのに少しムッとする。
「リズが居なかったら、そこの変態職人さんに鑑定を頼んでたさ」
「フン、どーだか。……ま、いいわ。お眼鏡役はあたしが責任を持って引き受けたげる」
「助かるよ」
「だから、私にはハーラインという立派な名前があるのだがね! あと、リズベット君! さも私が本当に変態みたいにスルーしないでくれたまえよ!」
俺とリズベットは華麗なるスルーのコンビプレイを彼に見せつけ、まずデイドの長槍の鑑定に移った。
それは深緑の柄に赤銅色の刃という一風変わった配色の、見た事の無い槍だった。リズベットも同じ感想だったらしく、たちまち目に真剣さと興味津々さによる輝きがキラキラと灯り始める。
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