暁 〜小説投稿サイト〜
ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
戦王の使者篇
09.洋上の聖戦
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さて、ガルドシュのほうの準備も済んだみたいだし、そろそろボクの出番かな」

 久々な死闘の予感に、ヴァトラーは歩き出す。その背中に、矢瀬は皮肉っぽく笑いかける。

「そいつはどうかね。あの二人の親友として言わせてもらえば、吸血鬼(あいつら)が計算どおりに動いてくれるなんて期待しない方がいいと思うぜ」

 その瞬間、キィン、という耳障りな高周波と海面に爆弾でも投下したのかと思わせる数十メートルの水柱が増設人工島(サブフロート)を震わせる。

「……へぇ」

 ヴァトラーが感心したようにつぶやく。
 凄まじい魔力の塊が増設人工島(サブフロート)の地下と海から荒れ狂う。

「来たか、古城、彩斗」




 船が転覆するのでは、ないかと思うほどに激しく揺れる。
 膨大な魔力の塊が海面から姿を現したのだ。それは、黄金の一角を持つ艶やかな毛並みの馬。そういうよりは、一角獣(ユニコーン)と言った方が正しいかもしれない。
 それが突如として出現したのだ。これは眷獣だ。しかも、真祖クラスの強大な魔力を持つ眷獣。こんな眷獣を操れる人間は、この場において一人しかいない。真祖と同等の魔力を持ち、伝説にして最強の吸血鬼の力を継いだ不敵な笑みを浮かべる緒河彩斗しかいないのだ。

 一角獣は、一瞬にして海水の水を操り、船体に張り付く真祖に対抗できる古代兵器をまるで赤子の手を捻るように吹き飛ばしたのだ。

「まさか……ナラクヴェーラを一撃で」

 “神意の暁(オリスブラッド)”の眷獣がここまでのものとは思わなかった。
 するとガルドシュは、船倉の方へと走り出した。雪菜が貨物室で見た、大型の古代兵器に乗り込むつもりだろう。

「待ちなさい、クリストフ・ガルドシュ!」

 銀の槍を翻して、雪菜が彼らの後を追う。そんな雪菜を一瞥して、ガルドシュの部下が何かを放った。ジュース缶ほどの大きさの金属の筒。
 それは手榴弾だと気づく。
 上甲板には、浅葱たちが放置されたままである。
 雪菜はガルドシュの追跡を諦めて、倒れている浅葱たちへと覆いかぶさる。
 だが、その全てを覆うような謎の布が雪菜たちの身体を覆い尽くす。

「え?」

「大丈夫みたいだな」

 聞き覚えのある声に起き上がるとそこには、身体を覆うほどの大きなマントで浅葱たちを覆う彩斗の姿があった。

「──いちおう全員、無事だったようだな」

 そして雪菜の前に、小柄な女性がゆっくりと歩み寄る。黒いフリルの日傘をさしたドレスの女性。

「そこのバカとおまえがこの船の結界を裂いたおかげで、ようやく転移ができた。うちの生徒を庇ってくれたことには、いちおう礼をいっておこう、姫柊雪菜」

「南宮先生!?」

「ナイスタイミングだったぜ、那月
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