暁 〜小説投稿サイト〜
少年と女神の物語
第三十八話
[3/3]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話

 植物の種は芽を出し、勢いよく成長していく。
 そうして出来上がったのは、一つの魔方陣だ。

「そのような権能で、なにができる!」
「この権能は、この状況で使うには十分なんだよ!それに、あんたこそ忘れたのか?」

 呪力を練り上げる時間を稼ぐために、俺は少しばかり無駄話に付き合う。

「俺たちカンピオーネは、権能のない只人でありながら、まつろわぬ神を殺したんだ。権能がなくても、テメエらを殺すことは出来るんだよ!」

 だから、今回は初心に帰ることにしよう。
 あの時には余裕がなくてしっかりと使うことが出来なかったが、今なら、そのための余裕も、呪力の量もある。

「我は王権の剥奪、王の断罪を勧告する!」

 俺の言霊に反応し、植物でできた魔法陣が輝きだす。

「我が忌む敵を拘束する十字よ!我が敵を捕らえ、救いの死を差し伸べる十字よ!今ここに現れ、わが敵を捕らえよ!」

 エリカが使う元老院最終勧告(セナトゥス・コンスルトゥム・ウルテゥムム)に似た経緯でできたこの呪術は、神にも効くように出来ている。
 とはいってもそこまでの効果を発揮するわけではないのだが、前回と違い今回はカンピオーネである俺が使うのだ。
 破壊の力を失ったシヴァを捕らえることくらいは、やってくれるだろう。
 ついでに、前みたく砕けた槍の破片も拘束するのを手伝ってるし。

「む・・・この、」
「もうそろそろ諦めろよ、シヴァ!」

 俺はそう言いながら少し走って跳び、シヴァの斜め上までたどり着く。

「ぬ・・・おのれ、神殺しめ!」

 が、シヴァも流石はまつろわぬ神。
 右腕の拘束を破壊し、そのまま拘束していた金属を飛ばしてきて俺の右足、左足を砕く。
 槍を使わせない気かもしれないが・・・残念。まだ、槍は使えるよ。

 左腕の力を抜き、口元に現れたブリューナクを、思いっきり咥える。
 その際に歯が何本か欠けたが・・・それくらい、後で治る。

「ふがへ(穿て)、」

 そのまま言霊を唱えつつ顔を振ってブリューナクを少し上に投げ、頭を後ろに引き、

「ブリューナク!!」

 思いっきり石突きに頭突きをして、ブリューナクでシヴァの頭を貫く。
 そのまま俺もシヴァのいたほうに落ちていき・・・十字架の感触を感じつつ、気を失った。

[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ