第三十八話
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植物の種は芽を出し、勢いよく成長していく。
そうして出来上がったのは、一つの魔方陣だ。
「そのような権能で、なにができる!」
「この権能は、この状況で使うには十分なんだよ!それに、あんたこそ忘れたのか?」
呪力を練り上げる時間を稼ぐために、俺は少しばかり無駄話に付き合う。
「俺たちカンピオーネは、権能のない只人でありながら、まつろわぬ神を殺したんだ。権能がなくても、テメエらを殺すことは出来るんだよ!」
だから、今回は初心に帰ることにしよう。
あの時には余裕がなくてしっかりと使うことが出来なかったが、今なら、そのための余裕も、呪力の量もある。
「我は王権の剥奪、王の断罪を勧告する!」
俺の言霊に反応し、植物でできた魔法陣が輝きだす。
「我が忌む敵を拘束する十字よ!我が敵を捕らえ、救いの死を差し伸べる十字よ!今ここに現れ、わが敵を捕らえよ!」
エリカが使う元老院最終勧告に似た経緯でできたこの呪術は、神にも効くように出来ている。
とはいってもそこまでの効果を発揮するわけではないのだが、前回と違い今回はカンピオーネである俺が使うのだ。
破壊の力を失ったシヴァを捕らえることくらいは、やってくれるだろう。
ついでに、前みたく砕けた槍の破片も拘束するのを手伝ってるし。
「む・・・この、」
「もうそろそろ諦めろよ、シヴァ!」
俺はそう言いながら少し走って跳び、シヴァの斜め上までたどり着く。
「ぬ・・・おのれ、神殺しめ!」
が、シヴァも流石はまつろわぬ神。
右腕の拘束を破壊し、そのまま拘束していた金属を飛ばしてきて俺の右足、左足を砕く。
槍を使わせない気かもしれないが・・・残念。まだ、槍は使えるよ。
左腕の力を抜き、口元に現れたブリューナクを、思いっきり咥える。
その際に歯が何本か欠けたが・・・それくらい、後で治る。
「ふがへ(穿て)、」
そのまま言霊を唱えつつ顔を振ってブリューナクを少し上に投げ、頭を後ろに引き、
「ブリューナク!!」
思いっきり石突きに頭突きをして、ブリューナクでシヴァの頭を貫く。
そのまま俺もシヴァのいたほうに落ちていき・・・十字架の感触を感じつつ、気を失った。
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