十一章 幕間劇
歓迎会×神の鉄槌
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と共に振り下ろされた刃は。
「え・・・・・・?」
あっさりと受け止められた。驚きに漏らす言葉も間に合わない。丸太のような巨大な腕が横薙ぎにぶうんと空を裂き。その先にあった細い体を巻き込んで、速度を緩めぬままに振り抜かれる。
「ぐ・・・・・が、はっ!?」
打撃の重みに連なったのは、地面に叩き付けられた時の大きな痛みと、そこから転がった先、止まるまでに幾度となく打ち付けられた連続の痛み。
「かは・・・は・・・・っ」
全身を揺さぶる一打に、肺の奥底までの空気が全て吐き出された。今は呼吸のままもならない。痛みに至っては、体中に広がり最早どこが痛いのかすらも分からなかった。
「は、は・・・・っ。ぁ・・・・」
そんな梅に掛かるのは、月光を背にした巨大な影だ。大きい。それはこれ程に、大きな相手だったのかは先程倒した鬼達よりも、幾分か大きいだけではなかったのか。
「・・・・ひっ・・・・・っ」
爛々と輝く瞳に見据えられ、漏れるのは、言葉どころか歯が震えてぶつかり合うカチカチという音だけだ。鬼とは、此程に恐ろしい物だったのか。
「(わ・・・・私の剣・・・・でうすの祝福を受けた剣が・・・・どうして・・・・っ)」
心の中に渦巻くのは、そんな混乱と怯えに彩られた黒い嵐。目の前の恐怖から内への思考に逃げようとするが、かち合う視線は彼女を据えたまま、逃げる事を許さない。
「あ・・・・・・ぁ、あ・・・・・・っ」
目の前の大きな闇が一歩を踏み出す度に、身体が震え、視界が恐怖にぐらりと揺れる。
「(お、鬼は・・・・・攫った女性を襲って・・・・)」
そして、どうするのかだった。
「(孕ま・・・・・せて・・・・生まれた子供は・・・・・)」
どうなるのだったか。天守教の司祭から聞いた話は余りにおぞましく、それ以上は思考の端に浮かべる事すら穢らわしいものだ。
「いや・・・・・っ」
故にその恐怖は、限界を超えた。
「いや・・・・いやいやいやいやいやぁ・・・・・・・っ!」
口から止めどなく溢れるのは、拒絶を示す言霊だ。けれど、その少女の拒絶の声など涼風の如く。巨大な手は涼風を前に一分の速度も緩める事なく、梅の甲冑に伸ばされて・・・・・・。
「いやぁ・・・・・・っ!」
「はあああああああああああああああああああああああっ!」
「・・・・・・え?」
梅の悲鳴を掻き消すかの如く響き渡ったのは、裂帛の気合と、梅のそれより遥かに鋭い斬撃の音。そして怪物の断末魔と、巨大な身体が崩れ落ちる轟音だ。
「あ・・・・・」
涙に揺れる視界に映るのは、小さな・・・・鬼に比べれば遥かに小さな、けれど梅にとっては大きな背中と。金色に輝く鋼の刃だった。
「ふう、何
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