暁 〜小説投稿サイト〜
戦国†恋姫〜黒衣の人間宿神〜
十章 幕間劇
蹴鞠=リフティング×お買いもの
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ちなの!こっち!」

しばらくは鞠の買い物になりそうだな。俺の買い物は大したのじゃないし。

「一真!蹴鞠、売ってるの!」

「はい、いらっしゃい」

「ふわぁ・・・・きれいなのー」

鞠は店先に並べられたいくつもの鞠を笑顔で見回す。手に取ってはその具合や大きさを確かめている。さっきのボールよりかは鞠のほうがいいかもな。

「これは、京の鞠?」

俺が帰ってきた時にやっていた蹴鞠の鞠とは違う。綺麗な装飾の施された鞠のようだ。たぶんこういう綺麗なのでやっているんだろうな。

「そうだよ。綺麗だろう」

「うん!とっても綺麗なの!」

「これも蹴って遊ぶの?」

「投げて遊ぶ手鞠だけど、まあ・・・・上手なら蹴っても上手く使えるんじゃないのかね」

ほう。鞠でも色々なスタイルがあるそうだ。手で遊ぶ鞠か。楽しそうだけど、やっぱり俺は蹴る方だな。

「前は駿府まで行ってたんだけどね。最近のあっちは随分キナ臭くなってるし、今回は上洛があって人も増えてるから、こっちに来てみたんだよ」

って、よりによって駿府に行ってた人の店か。

「どうしたんだい?旦那」

「いや、何でもない」

鞠にも聞こえたのかと思ったが心配はなそうだ。店先の鞠を相変わらずニコニコと眺めているだけだ。周りも騒がしいから、聞こえていなかっただけかもな。

「どうしたの?一真」

「鞠・・・・その蹴鞠、気に入った?」

「・・・・ふぇ?」

「いいよ。気に入ったの、一つ買ってあげるから」

「ホント!?」

「うん。でも一つだけだよ」

「あ・・・・でも、いいの」

一瞬嬉しそうな顔になったが、すぐにしゅんとしたようだ。

「どうして?」

「鞠、お金持ってないから・・・・。はたらかざるもの、くうべからずだから」

ああ、そういう事か。この間言われたばかりだし。

「じゃあこうしよう。鞠が俺の部下になったって事で、出世祝いならどうだ?」

「にゃ・・・・?」

「これから大変だけどさ。鞠、素浪人だったろう。その後、一真隊の俺の部下になった訳だから、出世祝いという事で買ってあげるよ」

「うん。お祝い!」

「という事で、おじさん。この鞠をもらおうか」

俺は鞠が一番触ったり眺めたりしてた蹴鞠を買った。

「へい、まいどっ」

「鞠、これ受け取れ」

「うんなの!大切にするの!」

と言ってまた歩き出すと、鞠は喜んでいた。新しい鞠を買ってくれた事で上機嫌になってた。俺は鞠と手を繋いでたけど、離したら迷子になってしまうだろう。こんなに幸せな笑顔を見るだけで、やる気は出てくるだろう。ロリコンにとっては。

「ああ、あったあった。おーい、親父さん」


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