十章
松平の殿到着
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やはり、正史と外史では違うんだな。鞠もそうだが、葵もだけどギャップが激しい。
「綾那。一真様にしっかりとお仕かえしましたか?粗相などはありませんでしたか?」
葵は隣にいた綾那に声をかけた。
「です!綾那はちゃんと頑張ったですよ!ね!一真様っ♪」
「まあな。楽しい時間だった、ありがとうな綾那」
言いながら俺は頭を下げる。そしたら、葵が失礼ではと言ったが俺は気にしてないとな。
「ななな何とーっ!」
大丈夫、と言おうとしたら突如後ろから来たもう一人の少女。何か知らんがわざとらしい声を上げた。
「田楽狭間の天人と言われる織斑一真様が、陪臣でしかない綾那に頭を下げるとは!はっ!?しかし綾那の主人は葵様。という事は、田楽狭間の天人よりも、葵様の方が更に高貴という事になりますぞ!」
「そ、そうなのかしら?」
「てめえ、その口閉じてあげようか!ゴラッァァァァ!」
俺は目だけを解放して、覇気をこいつに浴びせた。殺気だったら、他の兵も支障が出るからな。
「あんまり舐めた口聞くと殺すぞ!」
「ひっ!?」
「も、申し訳ございません。悠季にはあとで言い聞かせますので、ご容赦を」
「まあいいや。こんな奴のために怒っても無駄だ。天人じゃなくて様を付けろよな?何様のつもりだ。今は人間の姿でも神の姿になったらどうなっていたか。で、お前の名は何だ?」
「わ、我が名は本多弥八郎正信。つ、通称は悠季と申します。以後お見知りおきを」
「本多?綾那と同じ姓だが、その辺はどうなっている?」
「悠季は綾那の従姉になるです。全く・・・・悪知恵ばかり働くから一真様を怒らせたのです」
本来なら、女狐と言いたいのだろう。三河武士の筆頭がどうのこうのとか。俺を怒らせたら、この日の本がないと思えって感じだし。
三河武士・・・・・・君主のために!を合言葉に、何でもする人達。その癖、ちょっとした事を根に持ったりする。総じて面倒くさい。
「で、三河武士は今どこに?」
覇気を閉じた後に、普通の会話に戻した俺。悠季と名乗った者は、葵の後ろに隠れてしまった。ああ言うのが苦手でもある。
「あ、はい。三河衆は、美濃に向けて先行させております。歌夜から連絡があり、私達は一真様にご挨拶すべく、こちらにお待ちしていた次第」
「あらま、じゃあ俺に挨拶するためだけに?」
「はい。久遠姉様が最も信頼し、最も大切にしている御方と聞いております。それに一真様は、現将軍・義輝様とも懇意であらせられるとか。ならば是非にと思い、ご挨拶させて頂きました。向後、お可愛がり下さいませ」
「こちらこそ、よろしくな」
頭を下げる葵に下げ返しながら違和感を感じる。というか、織田の内情に詳しいというか、俺
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