九章 幕間劇
川釣り
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聞こえたけど、土産ねえ?あったらな、と思いつつバイクを走らせてから数十分で着いた。バイクから降りて、川沿いを歩く俺と詩乃。
「詩乃。足元注意な?濡れてるから」
「はい。一真様前方に苔が」
「お、ありがと」
やがて辿り着いたのは、ゆったりと水の流れる渓流だった。
「大きな岩があそこにあるから、この辺りか」
聞こえる音は、川のせせらぎと僅かな森のさざめきだけ。苔むした大きな岩は、時間から取り残されたかのように、静かにその身を流れの中央へと置いている。
「なるほど。これは、確かに一見の価値のある景色ですね」
それに、透き通った水の中には、穏やかな陽光を弾く小さな影が幾つも見える。ふむ、水の精霊から聞くと、ここにはたくさんの魚がいるとの事。大きな岩の上に詩乃と一緒に登ってから空間から釣り道具を取り出す。一応宿から借りてきたこの時代の釣竿とか持ってきたけど。
「詩乃は釣りする?」
「私はした事ないので、しばらく見取り稽古をさせていただきます」
「俺のは俺の世界のだから、・・・・でも感覚は盗めるかもな」
という事で、釣竿を出して針に餌をつけてと。そして一気に振ると、針がついた糸を川の中に入れる。入ったらリールを巻く。そしてしばらくしてるとかかった!
「お、来たな」
「一真様は釣りの経験は・・・・?」
「何回かやっているよ。たまに大きな船で、大きい魚を釣る時もあるけど」
「そうですか」
詩乃は小さくそう呟いて、身体をすっと寄せてくる。たぶん、俺の手元を見るためだろうな。
「お邪魔・・・・ですか?」
「全然。釣り上げる時は少し危ないかもしれないけど、構わんさ」
「お邪魔でしたら、仰って下さい」
「ああ、今来てるからそのまま釣り上げるよ」
と言ってリールを巻く。すると、釣竿を動かしながら巻いて行くと釣れた。
「まずは一匹目、と」
これは何だろう?イワナかな、少し大きいような気がする。
「七寸はありそうですね・・・・。凄い」
この位の大きさなら、塩焼きにして食べたら絶品だろうな。魚を針から外してからバケツに入れて、また針に餌をつけて竿を振った。すぐに釣れそうだなと思ったけど、一杯は釣れそうだな。
「ところで詩乃。三河はどうだった?」
「・・・・大変でした」
「本当にお疲れさん。一人での使いって大変?」
「そこは元々一人の私ですから、気にはなりませんでした。街道の治安も悪くありませんでしたし。ただ・・・・三河者が」
「扱いが悪かったのか?」
「いえ。同盟を結んでいる織田からの使いという事で、賓客扱いでしたから。寧ろこちらが恐縮してしまう程でした。扱いが悪かったのは美濃で慣れていましたから、扱
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