九章 幕間劇
行き倒れ×鞠の現状
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じゃあ歌夜と入ってくるです」
と綾那と歌夜が風呂に行った後に、詩乃は静かに言った。
「・・・・なるほど」
ちょうど書状を読み終えたようだった。
「で、何て書いてあったの?俺にはさっぱり分からん」
「では、説明するとですね。概ねは、先程鞠さんの説明通りでした」
今川家は、と言いかけたがここには鞠もいる。詩乃もそれが分かっているのだろう。小さく首を振って俺が言いかけた言葉を肯定した。
「内容としてはあまり気分の良いものではありませんでしたが・・・・少なくとも泰能殿と鞠さんには、織田に敵対する意思はないかと思います」
「そうか。では鞠。これは俺が大切に持っておく、そして久遠に渡しておくから」
「そうですね。一真様が持っていればよろしいかと」
「お願いしますなの」
「それと書状は三河の方々には・・・・」
やはりそうなるか。俺が見たのは最初の方だけど、何となくだが周辺国に鞠を任せられない理由が書いてあった。綾那にハリセン一発したお蔭なのか、どうやら正解だったようだ。こんな物が見られたら織田と松平にヒビが入るかもしれない。
「これはいいとして、鞠はこれからどうするの?」
「美濃に行って、三郎殿に会うの」
「一人で?」
「なの」
おいおい、こんな小さな女の子を、一人旅させようとは俺には思えない。護衛が何人かいたら話は別だが、今の世には鬼がいるからな。例えこの子が強くてもな。
「いいかい?確かに尾張や美濃は、他より安心かもしれない。だけど鞠のような者を、護衛無しでは行かせられない。路銀も無さそうだし、さっきみたいに行き倒れになる。それに書状は俺が預かったから、今から一人で行っても書状無しでは会えないよ」
「あ・・・・・・!や・・・・やっぱり返してなの!かーえーしーて!」
俺に掴みかかるが、書状は俺の内ポケットに入れてある。この時代にはポケットなんてない。
「だからさ・・・・」
「にゃ?」
バタバタと暴れる鞠の身体をひょいと抱え上げて座らせる。
「鞠、俺の客人にならないか?」
「客人に?」
「俺達はしばらくここに滞在後、美濃に戻る予定だ。鞠も一緒に来ないかって事」
「いい・・・・の?」
「久遠の客人なら、恋人の俺にとっても客同然だ。数日はここで待つけど、俺達には馬があるから美濃に着くのは歩きと変わらないと思う。それに俺と一緒に来てくれるなら取り次ぎ位はしてあげるよ」
「ホントなの!?」
「その後の判断は久遠がするけど、同席して、鞠に悪く言わないように口添えもできるし」
書状内容を見る限り、久遠も邪険扱いはしないだろう。すると鞠にとっては不利な条件ではないはずなのに、なぜか遠慮をしているような感
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