九章 幕間劇
行き倒れ×鞠の現状
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された。
「駿府屋形が・・・・」
「って事は、武田が駿河に攻めてきたって事ですか?」
「ですが、甲斐の武田は今、越後の長尾と事を構えていたはず」
「南下したという考えでは?」
「いえ。武田家と今川家、そして相模の北条家の間には同盟が成っています。だからこそ武田は北の信濃や長尾と事を構え、今川は上洛に集中出来ていたはずなのですが。いずれにしても、武田がここまで早くあの駿河を落とすなど」
「あ、違うの。駿府屋形を落としたのは晴信ちゃんじゃなくて、信虎おばさんの方だよ」
信虎・・・・武田光璃の母・武田信虎の事。苛烈な領国経営が祟り、娘・晴信に甲斐を追放されてしまった。
「信虎?確か武田晴信の母親で、晴信は信虎を追放して躑躅ヶ崎館の主だったか」
「その通りです。一真様」
まあ、美濃の斎藤家と似たようなものだな。例え親子でも容赦はしないって事か。
「信虎おばさんは晴信ちゃんに追い出された後、お母様の客人として駿府屋形に来てたんだけど」
「気が付いたら、信虎に実権を握られていたと?」
「・・・・うん。それで、泰能達と屋形を逃げたんだけど、追手が掛かって・・・・逃げられたのは、鞠だけなの。あとこれが、泰能の書いてくれた三郎殿へ宛てた書状なの。一真にあげるの」
鞠はそう言って丁寧に包み紙に納められた書状を差し出してくれた。
「あげるってこれ・・・・久遠への書状なんだろう?俺が預かっていていいのか?」
「泰能は三郎殿と、彼氏の一真を頼れって言ったから・・・・一真でもきっと大丈夫なの」
「そうか。一応中身を確認させてもらってもいいか。詩乃にも見せてもいいか?」
「うん。一真の判断に任せるの」
俺は詩乃を呼び、書状を読んだ。その時、詩乃が俺に寄り添うように来る。あと隣に来そうな綾那がいたので、ハリセン一発。
「阿呆。これは織田家の久遠による書状だ。お前には読まれると困るんだよ。そっち行ってろ!」
「一真様、申し訳ありません。綾那、他国同士の書状なんだから見ないのが礼儀なの」
まあ駿府から尾張への手紙なのだが、間にある三河を飛ばして織田に頼るというのは、どういう事だろうな。そう意味でも三河の二人に、この手紙を読ませる訳にはいかない。綾那は気になるらしいが、松平の殿に怒られるのは勘弁とか言ってた。
「二人共、先に風呂にでも入ってこい。ギャーギャー騒がれると、考えようとしてもうるさくて考えが出来ない」
「そうですね。だったら綾那。今の内に使わせてもらいましょう。それと静かに考えたいですものね」
「でもさっき二人は無理だって?」
「俺は体が大きいから無理なんだよ。綾那と歌夜くらいだったらちょうどいいという事だ」
「なるほどです。
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