九章 幕間劇
行き倒れ×鞠の現状
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うるさかったのか、それともお膳の匂いに反応したのか。女の子はゆっくりと目を開ける。
「あ、目が覚めたようですね」
「んぅ・・・・・ふぁぁあ・・・・」
女の子は、布団から起こして大きな欠伸をする。まだ寝ぼけているのか、辺りをぼんやりと見回している。
「・・・・・・・・・・・・・」
やがて、その視線は俺の目の前に置いてあったお膳へと。お膳を持つと、視線は左行ったり右行ったりと。そしてお膳を女の子の目の前に降ろす。
「お腹、空いてない?」
「・・・・すいているの」
「じゃあどうぞ召し上がれ」
「いいの?」
「君のために用意したんだから食べたいんならどうぞ」
「い、いただきますっ!」
そう言ったら、まさに飛びつく勢いで箸と茶碗をとった。余程、お腹が減っていたみたいだな。綾那や小夜叉も結構な食べっぷりだけどこの子も結構な食べっぷり。まるで鈴々や翠、あと恋だな。大食いといえば吉音かな。
「彼女の素性は・・・・」
「今は待ってやれ。食事の後にでも聞けばよい」
「そうですね」
詩乃との会話してたら、女の子はむせてしまったので水を差しだす。両手が塞がっているのかそのまま可愛らしい口を寄せてくる。
「あ、ありがとうなの・・・・んく、んく・・・・」
「慌てる必要はない。ゆっくり食べろ」
「あ・・・・・」
その言葉を聞いた女の子はばつが悪そうな顔をした。やがてさっきみたいな食べ方ではなく、姿勢を正して食べていた。半分無くなった干物を丁寧に返して、運ぶ箸の動きも今までとは違っていた。丁寧な仕草だったし、茶碗を持つ動きも、汁椀を口に運ぶ動きも、どこか気品があるというか優雅。
「やっぱり、どこかのお嬢様か?」
「お嬢様かどうかは分かりかねますが、箸の先だけしか汚さないように食べるのは、貴族や御所に出入りするような侍の作法ですから」
「そうか」
歳は詩乃より離れてると思うけど、俺との差は結構あるし。どこか京の一葉や双葉の仕草に、通じるものと思っていい事なのかな。
「それに、服の素材も良い物ですし。恐らくは京か、そこに近しい所で仕立てられた物かと」
「そんな子がどうして長久手にいるんだ?」
「それは何とも・・・・」
ふむ、あの子の箸の動きは、何か無理をしているような感じがした。どこをどう見ても、もっと早く食べたいのを我慢しているように見える。
「あのな・・・・」
「・・・・ふぇ?」
「最初みたいに食べても平気だよ。ここでは、礼儀作法で文句を言う奴はいないから」
「ほんと・・・・なの?」
「ホントさ。だから食べたいように食べればいい」
「っ!」
そう言った瞬間、女の子は笑顔になって元気一
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