第九十四話 憂いが消えてその四
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「実に」
「そうね、では今からね」
「お会いします、お兄様と」
こう話してだ、そのうえでだった。
三人で彼を待った、やがて。
見事な、かなりの巻き毛の金髪をショートにした長身の青年が来た。長身の聡美よりも頭一つ分高い。精悍でかつ自信に満ちた微笑みをたたえた顔は白く目は輝かしいサファイアの様な顔だ。すらりとしたモデルの様な身体を白いスーツで包んでいる。
その彼が三人の前に来てだ、こう言ってきた。
「三人共久し振りだね、特にアルテミスは」
「お兄様、ようこそ」
「話は聞いているよ」
彼は自分の声を聞いて瞬時に眩しい笑顔になり席を立って自分の方に駆け寄ってきた聡美に対して言った。
「僕の力が必要だね」
「はい、お願い出来ますか」
「僕がアルテミスの頼みを断ったことはあるかな」
「いいえ」
その笑顔で首を横に振って答えた聡美だった。
「それは」
「そうだね、僕は妹の頼みは断らないよ」
「そうなのですか」
「絶対にね」
こう言うのだった。
「だから来たよ」
「そしてですね」
「うん、早速その病院に案内してくれるかな」
「八条病院にですね」
「そちらにも話がいっているね」
「ええ、そうよ」
二人も立っていた、そのうえで智子が彼アポロンを見て言うのだった。
「だから病院に行けばね」
「僕はすぐに彼等を救えるね」
「ええ、そうなるわ」
「死んでさえいなかったら」
生きているのならそれでだというのだ。
「僕は誰でも救えるよ」
「それが医療の神だからこそね」
「うん、任せて」
その微笑みで言うアポロンだった。
「そのことはね」
「それならね」
「さて、と。では」
アポロンは智子の言葉にも頷いて言った。
「その病院に行こう」
「では」
こうしてだった、アポロンと合流した三人の女神達は空港から即座に。
神戸の八条病院に赴いた、だがその行き方は電車だった。アポロンは今度は電車の中にいて妹に対して問うた。
「日本は鉄道大国と聞いたが」
「はい、その通りです」
「空港からすぐにかい?」
「こうしてその病院までです」
「行けるのだな」
「実は神戸にも空港があるのですが」
彼等が今使った大阪新国際空港以外にもだというのだ、神戸にも独自に空港があるというのである。しかしだった。
「ですがお兄様が使われた便は大阪着でしたので」
「それでだね」
「そうです、神戸からではなく」
「こうして鉄道でだな」
「少し時間をかけてです」
神戸まで行くことになるというのだ。
「まだ少しだけ我慢して下さい」
「わかったよ」
妹の言葉にだ、アポロンは素直に頷いた。そのうえで。
今度は豊香にだ、こんなことを問うた。今四人は八条鉄道の特急に四人で座っている。席は二
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