SAO編
第一章 冒険者生活
9.こだわりを求めて
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たひとつ渡すこと自体に問題は無い。てか、アルゴさんにあまり情報を流布をしないで欲しいと言われているし(情報が欲しい場合はアルゴさんを紹介することになっている。ただし信用できそうな人限定)、ただアイテムを渡すだけならクエストの情報までは教えてないしセーフだろう。……セーフということにしておこう。
「あー……その代わりと言っちゃなんなんスけど、その、わたしらに服をッスね、作ってくださると嬉しいなーなんて……」
典型的な押しの弱い日本人であるわたしは、図々しく要求しまくるなんてことは出来ません。これがわたしの精一杯です。
「…………ぷっ」
そんなわたしを見て噴き出すお姉さん。
堪えきれなくなったように笑い出し、その笑いはだんだん大きくなって、バートさんやネリーたち、ついにはわたし自身まで笑ってしまっていた。
「あはははは、うん。了解りょーかい。うんとカワイイの作ってあげるわ!」
目尻を拭いながら今だ体を震わせているお姉さんが言ってくる。
「んじゃまあ、さっそくトレードするッスかね…………って、そういえばお姉さんの名前訊いてなかったッスよ」
アイテムの譲渡は、基本的にトレードウインドウで行う。相手の名前を入力してから渡すアイテムや金額を選択するため、名前を知らないと渡すことが出来ない。普通はフレンドリストから名前を選んでからトレードウインドウを開く。
「ああ、そういえばまだ言ってなかったっけ」
あっけらかんと言ってから、お姉さんは佇まいを直した。
そして、そのアルト声に合った演劇口調でわたしたちに向かって言った。
「私の名前は……《アシュレイ》。いつの日か現実で、カリスマと言われるデザイナーになる女よ!」
「いやー、強烈な人だったッスねぇ」
「あはは、うん」
《水梨亭》を出たわたしたちは、既に暗くなった表通りを歩いていた。
時刻は夜十時近く。今日は朝から夕方まで寝っぱなしだったし、今夜は寝られるかどうか不安だ。
「……でも、良かったね。素材さえ持って行けば希望に合う服を作ってくれるって言ってくれたし」
いつもよりも弾んでいるように聞こえるレイアの声に、わたしもネリーも頷いた。
あのあと、改めて自己紹介をしたわたしたちは服の話題で盛り上がった。とくにわたしはアシュレイさんと意気投合し、お互いの意見を出し合い、至高の衣装を模索した。まあ、途中からは再びSAO内での衣服やパンツについての愚痴になっていて、気付けば三時間以上も喋りっぱなしだった。
キリュウさんとバートさんは、いつのまにか飲み物を持って部屋の端っこでちびちびとやっていたようだった。
「……じゃあ、今後は衣服関係の素材を中心に集める、ということで良いのか?」
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