暁 〜小説投稿サイト〜
SAO 〜冷厳なる槍使い〜
SAO編
第一章  冒険者生活
9.こだわりを求めて
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「待たせたわね。ではさっそく…………《これ》よ!」

「おおぉっ! …………おお?」

 奥の部屋から戻ってきたお姉さん。戻るなり両手を突き出しあるものをわたしたちに見せてくる。
 それは――――




「…………ぱ、パン……ツ……?」




 そう。お姉さんが両手で広げてわたしたちの目の前に掲げているものは、女物の下着、ショーツ、パンティー……つまり、世間一般で《パンツ》と呼ばれるものだった。

「そうよ! あなたたちも女の子なら下着には気を遣うでしょう? で・も! 第一層、第二層と色んな服屋、装備屋を回って探したけど、どこのどれもいま一つ……いえ、いま三つはあるわね。まずデザイン。シンプルと言えば聞こえは良いけど、遊びも何もない、ただの間に合わせ感は否めないわ。更に肌触り。嘗めてんの!? と茅場明彦に訴えたくなるほど嘗めてんの!? って感じよ。正直、こんな下着じゃ私は動き回りたくもないわよ。このSAOの仮想世界には耐久値による摩耗はあるけど、汚れるという概念は無いみたいね。けど、だからって下着を着けっ放しというのはオンナとして、そしてなにより一服飾デザイナー(見習いだけど)として我慢できないわ! つまり質はもちろんのこと数も欲しいの。情報屋を名乗るプレイヤーの話によれば、店売りのものは最低限の性能を持っているだけらしいし、より良いもの――デザインや肌触りに満足のいくものを求めるのなら作り出すしかない。それを聞いた私は、私たちはさっそく作成に取り掛かったわ。このSAO(せかい)と現実(むこう)じゃ製作方法というか製作手順が全くと言っていいほど違ったから最初は戸惑ったけど、慣れればこちらの方が疲れないから楽ね。細かな遊びが出来ないのはちょっとイタイけど……まあそれも《裁縫》スキルの熟練度が上がれば色々出来るようになるっていうし、今気にすることじゃないわ。でも素材に関してはお手上げ状態だったの。私は(パンツのせいで)動きたくなかったし、バートくんも頑張ってくれたけど革製装備はまだしも布製装備の素材を一から集めようという奇特なプレイヤーは少なく、手伝ってくれるプレイヤーも見つからず、一人じゃ限界もあった……」

 早回しでもしているかのようなお姉さんの口から放たれるマシンガントーク。
 色々とツッコミどころ、特に『店売りのパンツじゃ穿いて動き回りたくない』というところに「おいおい」と言ってやりたかったが、わたしらが口を挟む余地は少しもありはしなかった。
 それに、わたしはこのお姉さんの気持ちも解らなくはないかなぁと、ちょっとだけ思ってもいた。

「……だけど、あなたたちのお陰で素材も手に入った。少なくとも穿き心地に関しては……フフッ、驚くと思うわよ? ……あなたたちも苦労したでしょう? 現実では毎日換
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