SAO編
第一章 冒険者生活
9.こだわりを求めて
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――いや、そりゃそうッスから。
自己胸中ノリツッコミに軽く溜め息。
そんなわたしの様子には誰も気付かず、バートさんに促されてわたしたちは部屋の中に入った。
ついさっきまで爆睡していたわたしたちは、午後六時ちょうどに約束の場所である《水梨亭》に到着した。この仮想世界では起床システムによる目覚ましと、レイアによるモーニングコールがあるので、わたしが寝坊することは絶対に無いのだ。
「……ええと、まずはありがとう。キミたちのおかげで、とりあえず目的を達成することが出来たよ」
見上げるような背丈の男の人が自分に向かって頭を下げているのは、ちょっと「おおぅ」と来る。上げた顔を見るに、別れ際と変わりがない。いやむしろ、もっと顔色が悪くなっているように見えた。
「あのー、もしかして……寝てないんスか?」
ちょこんと手を上げながら聞いてみる。
縦線が入った顔、というのはこういうものかと思いながら。
「はは……。いや、彼女が寝かしてくれなくてね……」
「……え"ぇっ!?」
予想外なバートさんの言葉に思わず女の子に有るまじき声が出てしまった。
「って、違うっ。違うからねっ!? そういう意味じゃなくてっ!」
真っ赤になりながら手を振って否定するバートさん。
糸目の人は焦っても糸目なんだなと、しみじみ思ってしまった。
「だから、えーと……っ」
「――うーるさいわよー、バートくぅん。声が隣の部屋まで届いてきてたわよーぅ……」
突然、ガチャッと奥のドアが開き、半眼の眠たそうな顔をしたお姉さんが頭を掻きながら出てきた。
深緑のウェーブのかかった長髪を垂れ流し、スレンダーというよりは細長いというふうな肢体に裾の長いチョコレート色のネグリジェ(スケてはいないよ?)を纏っている。
――もしかして、この人がバートさんの言っていた女の人ッスか……?
寝惚けたようにふらふらと、その人はバートさんの元に近づいていく。
「うーあー……ねむぅ」
「ちょ、ちょっと! お客さんが来てるんだよっ。さっき言ったでしょ? あまりだらしないところ見せないでよ……」
「お……おぉちゃく、さん?」
「お客さんだよっ」
「おきゃ、おきゃく、さん……お客さん………………って、え!?」
数秒の思考の後、ネグリジェのお姉さんは眼を見開いてこちらを見てきた。
――てか、このお姉さん裸足なんスけど……。
お姉さんのダルーっとした雰囲気のせいか、刺激的な格好のはずなのに色気はまったく感じない。
「ん、んんっ。あーっと、君たちが素材集めを手伝ってくれたって子たち?」
咳払いをして切り替えたのか、はっきりとした口調で訊いてくるお姉さん。
女性にしては少し
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