SAO編
第一章 冒険者生活
9.こだわりを求めて
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の方が強いことは解っている。でもだからこそ、不甲斐無いところは見せたくない。
「おおおおお!!」
キリュウくんに誘き寄せられ、ぼくから見たら隙だらけのオウルに強力なソードスキルの一撃を見舞う。今のぼくの仕事は、確実にオウル一匹一匹を潰すこと。それだけに集中する。
「はぁあああ!!」
それにしても不思議な感覚だ。一向にHPが減る気配が無い。
PTメンバーのHPバーを見ても、敵の注意を引いているルネリーちゃんが少し減っているだけで、他はまったくと言っていいほど減っていない。
こんなことはSAOに来て初めてだった。
戦いの最中でありながら、こんなにも安心感がある、余裕がある、というのは……。
えも言われぬ感覚に包まれながら、ぼくは力の限り戦斧を振るった。
「…………」
「フゥー……フゥー……? どうしたんだい? キリュウくん」
しばらくの後、急にキリュウくんが立ち止まった。今まで忙しなく動いていただけに、余計不思議に思える。
「……ここら一帯のフラッフ・オウルは倒しきったようです。あとは、あの三人が戦っている三匹を倒したら再湧出まで安全地帯に一度下がりましょう」
言われて気付く。地面に置いてあったランタンを掲げて頭上を見渡しても、確かにオウルは居なくなっている。
いつの間にか、かなり多くのオウルを倒したようだ。
「――ヤッ!」
普段滅多に聞かないような音程の女の子の声に、ぼくの意識は引かれた。
年端もいかない女の子三人が真剣な顔でモンスターと対峙している。
弾ける金髪のツインテール。流れるような銀髪のストレート。飛び交うように動く茶髪のセミロング。三人が代わる代わる立ち位置を換え、それぞれの役割を淀みなくこなす姿は、まるで何かの舞を見ているかのようだった。
「ふぅー……。あ、キリュウさん! こっちも終わりました!」
戦いが終わり、笑顔でキリュウくんのところに駆けていく三人。
それを見たぼくは柄にもなく、「いいな」と思ってしまった。
それから何度か、戦って、再湧出を待って、戦って、と続けていると、フラッフ・オウル出現時間のタイムリミットである午前四時が訪れた。
戦場から離脱したぼくたちは、安全地帯で最終的な目的のアイテム《コットン・フェザー》の数を確認していた。
「えーと……わたしは、六十八個ッス」
「あたしは、三十三個!」
「私は……五個です」
「……二十一個です」
「えーと、それでぼくが八十一個だから…………合計で、二百八個! みんなありがとう! 予定よりかなり集まったよ!」
思わずぼくは、感謝の言葉を四人に告げていた。予定していた百個の二倍
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