暁 〜小説投稿サイト〜
SAO 〜冷厳なる槍使い〜
SAO編
第一章  冒険者生活
9.こだわりを求めて
[2/10]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
の方が強いことは解っている。でもだからこそ、不甲斐無いところは見せたくない。

「おおおおお!!」

 キリュウくんに誘き寄せられ、ぼくから見たら隙だらけのオウルに強力なソードスキルの一撃を見舞う。今のぼくの仕事は、確実にオウル一匹一匹を潰すこと。それだけに集中する。

「はぁあああ!!」

 それにしても不思議な感覚だ。一向にHPが減る気配が無い。
 PTメンバーのHPバーを見ても、敵の注意を引いているルネリーちゃんが少し減っているだけで、他はまったくと言っていいほど減っていない。
 こんなことはSAOに来て初めてだった。
 戦いの最中でありながら、こんなにも安心感がある、余裕がある、というのは……。
 えも言われぬ感覚に包まれながら、ぼくは力の限り戦斧を振るった。








「…………」
「フゥー……フゥー……? どうしたんだい? キリュウくん」

 しばらくの後、急にキリュウくんが立ち止まった。今まで忙しなく動いていただけに、余計不思議に思える。

「……ここら一帯のフラッフ・オウルは倒しきったようです。あとは、あの三人が戦っている三匹を倒したら再湧出(リポップ)まで安全地帯に一度下がりましょう」

 言われて気付く。地面に置いてあったランタンを掲げて頭上を見渡しても、確かにオウルは居なくなっている。
 いつの間にか、かなり多くのオウルを倒したようだ。

「――ヤッ!」

 普段滅多に聞かないような音程の女の子の声に、ぼくの意識は引かれた。
 年端もいかない女の子三人が真剣な顔でモンスターと対峙している。
 弾ける金髪のツインテール。流れるような銀髪のストレート。飛び交うように動く茶髪のセミロング。三人が代わる代わる立ち位置を換え、それぞれの役割を淀みなくこなす姿は、まるで何かの舞を見ているかのようだった。

「ふぅー……。あ、キリュウさん! こっちも終わりました!」

 戦いが終わり、笑顔でキリュウくんのところに駆けていく三人。
 それを見たぼくは柄にもなく、「いいな」と思ってしまった。








 それから何度か、戦って、再湧出を待って、戦って、と続けていると、フラッフ・オウル出現時間のタイムリミットである午前四時が訪れた。
 戦場から離脱したぼくたちは、安全地帯で最終的な目的のアイテム《コットン・フェザー》の数を確認していた。

「えーと……わたしは、六十八個ッス」
「あたしは、三十三個!」
「私は……五個です」
「……二十一個です」
「えーと、それでぼくが八十一個だから…………合計で、二百八個! みんなありがとう! 予定よりかなり集まったよ!」

 思わずぼくは、感謝の言葉を四人に告げていた。予定していた百個の二倍
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ