SAO編
第一章 冒険者生活
9.こだわりを求めて
[1/10]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
――来る途中も思ったけど……やっぱりこの子たち、強いっ!
ぼくの目の前で蒼髪を靡かせながら俊敏に動く少年、キリュウくん。その鋭い双眸に見つめられると自分より年下と解ってはいても、つい敬語を使ってしまいそうになる。
「……バートさん、六秒後に範囲攻撃を」
ちらりと一瞬、横目でぼくを見て言うキリュウくん。
一見冷たい印象だけど、戦闘の中でぼくや女の子三人に飛ばす指示は的確だ。
頭上から襲い来るフラッフ・オウル四匹の強襲を軽々と避け、すれ違い様に槍の刺突攻撃を加えていくキリュウくん。攻撃を受けたことで憎悪値が高まり、ターゲットを確定したオウルたちが、こちらに走ってくるキリュウくんを追いかける。
…………三、二、一、いまっ!
「う……おおおお!!」
両手用戦斧全方位攻撃技《ワールウインド》。
緑色のライトエフェクトを振りまきながら戦斧をジャイアントスイング。その名のとおり、自分の周囲に強烈な旋風を巻き起こす。
技の発動の直前にスライディングで頭を低くしたキリュウくんをスルーして、翠の旋風はキリュウくんを追ってきた四匹のオウルの体をズバババッ、というエフェクトサウンドを響かせながら駆け抜けた。
「んっぐぅ……」
その威力にそぐわない技の反動を両足で踏ん張って止める。
オウルたちは空中で仰け反りながら、四匹同時に爆砕した。
「……ルネリー、あまり多くを釣ろうとするな。それよりも一匹倒す回転を速くするようにしろ」
「あ、は、はい!」
敵を多く釣り過ぎたんだろうルネリーちゃんに注意を出すキリュウくん。
――こっちで戦ってぼくに指示を出しながら、あっちの三人にも気を配ってるなんて……。
凄過ぎる。としか言いようがない。
オウルたちの間を暇なく駆け回っているのに、その顔は何処か涼しげで、余裕さえ窺える。
くるくると槍を回転させ敵を叩き、打ち付けた反動でそのまま逆回転させ背後の敵を叩く。
かなりの速度で動く槍とは裏腹に、キリュウくん自体はゆっくり動いているようにも見える。
ぼくが解るのはそこまでだ。とてつもない戦闘技術の持ち主だってことは解るけど、どこまで凄いのかなんてぼくレベルでは想像もつかない。
だけど、ぼく一人で戦っていたときとは比べ物にならないぐらいの効率の良さだ。
ソードスキルが苦手だって聞いて少し不安に思っていたけど、そんな欠点を忘れてしまうぐらいに洗練された戦いをしているように思える。
むしろ、その戦いぶりに目が奪われそうにさえなる。
「…………バートさん。次……来ます」
「え……あ、ああ、わかった」
――いけない。今は集中しないと……っ。
自分よりも、年下のこの少年
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ