『三十四話』〜歌姫を探せ 後編〜
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その歌姫と言うのは『月夜の歌姫』で違いないか?」
その問いに口元に薄く笑みが浮かぶ。
髪を束ねているゴムを外す。
そして少し息を吸い、
――――幾千もの物語
遠く古(いにしえ)に
群青に包まれて 眠ってる
その声はとても澄んでいて、とても優しいものだった。
――――時は流れゝ(ながれ)つく
心のもとへ
そして語り伝う
今此処(ここ)に
窓があったであろう場所から月明かりが差し込み、彼を照らす。
――――未来を分け合う
強さは真実
弧を描いて繋がる
運命の始まり
その光はまるで彼の為に作られた自然のスポットライト。
――――遥か遥か遠く芽生えた光
いつか届く蒼い奇跡
強く激しく出逢って
満ち欠けてゆくのでしょう
光に照らされながらも強く、美しく歌うその姿はまるで……
「月夜の……歌姫………」
その名にふさわしい姿だった。
「拓斗! なんで自分が歌姫だって言わなかったのよ!?」
「いや、言わなくてもいいだろ。それに誰だって知られたくない事はあるし」
現在、誘拐騒動の翌日の朝の教室。
あのあと、士郎が呼んだであろう警察の奴らが来て男達を逮捕して行った。
ちょび髭は確かに芸能事務所を経営していたが、裏では人身売買や殺し屋などをしていたようだ。
アイツの言っていた借りというのは、以前ターゲットの護衛だった士郎に妨害をされたことらしい。
おしゃべりは実際に誘拐したが、命令されてやったため罪は軽くなるそうだ。
「じゃあなんで月夜の歌姫なんかやってたのよ?」
「まず、歌うのが好きだってことと……なのはのことかな」
「ふぇっ? 私?」
いきなり自分の名前が出て来た事に驚いたのか、変な声を出すなのは。
「あぁ。でももうやらないかもな。目的は果たしたようなもんだし」
「目的?」
「何なのよそれ?」
「少し違うけど……『歌い手』を見つけたろ?」
「え?……あっ! あれって!!」
「そういうこと」
「「???」」
俺の一言になのはは顔を明るくし、俺は少し微笑んだ。
アリサとすずかは何が何だか分からない様子で頭にハテナを浮かべる。
「なのは〜……あれって一体何のことかしら〜?」
「なのはちゃ〜ん?」
「ふぇ? あ
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