第二章
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ャイは思った。残念なことに蛇の言葉まではわからない。だが話をしているようだとはわかった。
それを見て赤も離れるかも知れないと思った。けれどそれでもよかった。
「なあ御前等」
彼は二匹に対して言った。
「御前達の好きにすればいいからな。わしのところにいるのも離れるのも」
二匹はそれを聞いてチャイに顔を向けてきた。
「どっちでもいいからな。好きな方を選べ」
彼はまた言った。そう言って二匹の好きにさせることにしたのだ。
だが去ったのは青だけであった。彼は赤、チャイから顔を離すとそのまま茂みの奥へと入って行った。そしてそのまま姿を消したのであった。
「行ってしまったな」
チャイが消えた方を見て呟いた。赤は籠に戻った。彼はその蓋を閉めて家へと戻った。彼は帰る途中であれこれと考えていた。
「赤と青が入れ替わったんだな」
赤が死んで青だけになった。だがまた赤が入って来て今度は青を放した。交換の様な形であった。
何処となく天の配剤のように思えた。そう考えると別に辛くも惜しくもなかった。
「赤がいるだけでもいいな」
彼は背負っている籠を見て呟いた。竹で作った籠からは赤の重みが確かに感じられた。
その日はそのまま家に帰った。起きると次の日からまた蛇使いの仕事である。青はもういないがそれでも彼は黙々と仕事を行うのであった。
それから色々と蛇を手に入れたが一番よかったのはやはり赤だった。彼はいつも赤と一緒にいてあちこちを動き回っていた。だがその赤も大きくなってきた。
「潮時かな」
その大きくなった赤を見ながら思っていた時であった。遠くの山の方で大蛇が出るという話を聞いたのであった。
「それはどんな大蛇ですかな」
仕事が来ると予感した彼は地元の役人に尋ねた。
「何でも木の様に太い蛇らしい」
その役人はチャイにそう語った。
「木の様にですか」
「そしてやたらと大きいらしいのだ」
「それはまた」
「まだ害は出ていないがな。しかし出てからでは遅い」
「私が行っても宜しいでしょうか」
「そうしてもらえるか?」
「はい」
彼は快く応えた。そしてその山に向かうのであった。
お供はいつも通り赤であった。彼は赤を籠に入れて山に入った。
「なあ赤よ」
彼は山を登りながら籠で背負う赤に対して声をかけた。その周りは深い木と茂みが覆っている。
登りながら赤に声をかけたのだ。彼は落ち着いていた。
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