DAO:ジ・アリス・レプリカ〜神々の饗宴〜
第二十話
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任せてしまいたい、という感情もうかぶ。だが――――
『こころしなさい。《冥刀》の力に飲み込まれないように』
ハクアの声が、その感情をせき止める。そうだ。俺は何のために《冥刀》を求めた?この世界の秘密を知るためだ。何のためだ?レプリカを完成させて、小波の実験を終わらせるためだ。何のためだ?日本に帰るためだ。何のためだ?もう一度、秋也に、陰斗に、刹那に、ゲイザーに、キリトに、みんなに、そして、琥珀に会うためだ。
――――俺が俺じゃなくなったら、どうなるだろうか。
――――決まってる。琥珀が悲しむ。彼女をもう、これ以上泣かせるわけにはいかない。
――――だから俺は、お前に身を任せるんじゃなくて、お前の力を借りるだけにするよ。
――――この世界の秘密を知るために。
「……俺に力を貸してくれ、《雪牙律双》」
中央にある、半透明のそのグリップを握る。瞬間、パキィン!というサウンドと共に、周囲が凍り付いた。コクトの《凍》のそれに良く似た、エクストラ効果――――。
だが、分かる。セモンには、なぜだかわかる。この力は、自分の思い次第で変えられる、という事実が。
セモンは念じてみる。凍てつく風よ、熱風となれ、と。瞬間、刀の刀身を、真っ赤な炎が蓋った。
「うお!?」
思わず手を離しかける。すると、炎は消え、再び凍てつく風が刀身を包み始めた。
「……なるほど。やはりセモンの《本質》に反応するか……。いいだろう。セモン、ハクガ、カズ、リーリュウ、そしてコクト。お前たちに、小波からの指示を伝える。これよりお前たちは、《白亜宮》へと乗り込む」
「ちょっと待て!!何故だ!?」
叫んだのはコクトだ。それは、一度あの狂気の場に踏み込んだものだからこその恐れ。恐怖を感じない様に、どれだけ心を強く持っても、本能が、魂が、恐れる。そんな異質な王城に踏み込んだもののの感情。
「……『清文が、この世界を知る時が来た』……という小波の言葉だ。セモン、お前は真実を見る権利を得た。ゆけ、六門の中心へ。俺も案内しよう」
***
「ついに来るか、勇者たちよ。面白い……くふふふふ……くはははははっ!!」
真っ白な宮殿の、真黒な部屋で、真っ白な少年が笑う。嗤う。
「行け、エリューラ、オウエン、フェーレイ。彼らに、最も弱い、『最悪の絶望』を味あわせてあげるんだ」
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