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【IS】例えばこんな生活は。
例えばこんな時に人は強く在れるだろうか
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9月19日

オウカが泣き止まない。もう3日目だ。ずっと同じことばかり言っている。

「ゴエモンに見られた。嫌なところ見られた」

「怖がってた。私、怖がらせた」

「自分が自分じゃない感じ、怖い」

「ゴエモン、私の事嫌いになったの?」

「やだ・・・ヤダヤダヤダ!置いていかれるのはイヤ!!」

「ずっと一緒だって言ったもん!ずっと一緒に居たいのに・・・」

「オウカが悪い子だから?もう怖くて一緒に居たくないから?」

「わたし、ゴエモンに必要じゃないの?やだよ。必要だって言ってよ・・・また、なでなでしてよ」

うわごとのように言っては人の話も聞かずにめそめそ泣き、泣き疲れたようにぱたりと倒れ込む。これが―――ISのやることか?人間の感情を語れるほど感情を持ち合わせてはいないが、これが人間のやるようなことだとは分かっている。なまじ体が人間ではないからか、涙は留まることを知らない。ゴエモンのベッドのシーツはオウカの涙と言う名の冷却液でべしょべしょに濡れていた。

オウカの行動原理はゴエモンに喜んでもらいたいことだ。他のISも似たようなものらしい。つまり、ISの感情はその持ち主、パートナーに依存する。最初はそうだったはずだ。
それが一緒にいるだけに飽き足らず、自らの肉体を得て寄り添おうとし、今は支えを失ったかのようにその感情を延々と発露し続けている。

オウカの様子を見に来たツバキ曰く、普通のISは放置されたって寂しいと思うくらいで留まるそうだ。ならばお前は?と問うと、ツバキは暫く考えた後にこう言った。

「もう、ISは”そう”ではなくなったかもしれぬ。ツバキの知る情報は、今のISには当てはまらんかもしれぬ」
「それは、何故だ?」
「変わってしまったから。主さまとツバキ、有象無象とウツホ、ゴエモンと今の姉。我々の情報はネットワークを通じて繋がっているならば、ツバキ達人型形態(しんがた)の”こころ”のあり方も、他の姉妹たちを変容させておるやもしれぬ」

・・・私には分からない。ゴエモンなら分かるんだろうか。あいつめ、とっとと戻って来い。ラウラの奴はもう帰ってきてるんだぞ。

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