第拾話『二人での初仕事』
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1000円札を2枚取り出し、
「ごちそうさまでしたっ」
あらかじめ持っていたレシートと一緒にレジにお金をおき、愛の手をつかんでそのまま外へ飛び出した。
「……あ!?待てやゴラァ!」
連中も呆気にとられていたが、すぐに飛び出してくる。……だが、もう遅い。
「あ〜ばよ〜、とっつぁ〜ん!」
「だれが、とっつぁんだ!コラァァ!!」
しかもごみごみした商店街での追いかけっこなら、逃げているこっちが圧倒的に有利だ。
「よし、こんどはこっちだっ」
裏路地にとびこんだ。
◇◇◇◇◇
「ふぃー、なんとかまけた」
「ユウ。すごいな、お前」
「そうか?まあ、最善の判断だったろ?」
「いやそうだけど。あの程度のヤツら何人来ようと秒殺だったよ」
ちょっと不満げに頬を膨らませる愛。
「別に愛が負けるなんて思ってないよ。だけどもしケンカして警察でも呼ばれたら父さんに迷惑がかかるからな。それに、今日は番長の辻堂愛じゃなくて従妹でクラスメイトの辻堂愛、だろ」
「……ああ」
やれやれって感じで肩をすくめる愛。だけど、その顔はどこかうれしそうだった。
「………」
「………」
お互い見つめ合いそして、
「……ふっ」
「……くっ」
「「あはははははははっ」」
追われているのも忘れて二人で大声で笑い出した。
「み…見たかユウ。あいつらの顔?」
「ああ、きょとーんとしてた、そんでめちゃくちゃ鼻の穴ひらいてたな……くくくっ」
「あははははっ、ダメだあの顔〜、ツボすぎ〜」
「お、おい、愛。そんなに笑ったらし、失礼だろ」
「お前だって、思いっきり笑ってるじゃん」
「だ、だって、あの顔を見たら……くふ、あーダメだ、思い出したらまたっ、あはははははっ」
「あはははははははっ」
◇◇◇◇◇
しばらく二人で笑った後国道沿いに戻ることにした。
「たく、敵前逃亡なんて人生初だぜ」
「だろうな。悪いな500戦無敗の経歴に泥を塗って」
「いいよ別に、あんなおもしれーもん見れたんだから……ふふふっ」
再び笑いがこみ上げてくる愛。それを、見てると俺まで笑いそうになる。
「はー……、でも逃げるのってイイな。今度からちょくちょくやってみよーかな。最近ケンカもつまんねーし」
「ま、争わずに済むんならそれに越したことはないからな」
「……でも、殴らなきゃ収
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