暁 〜小説投稿サイト〜
辻堂雄介の純愛ロード
第拾話『二人での初仕事』
[4/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
してくれ」

「いいのか?」

「ああ。だって今日のアタシは稲村学園番長辻堂愛じゃなくて、ユウの従妹でクラスメイトの辻堂愛なんだから」


 愛がそう決めたなら俺がこれ以上何か言うのは逆効果だ。一度決めたらそのことにしか集中できない、一途なんだよな……いい意味で。

手に持ったコーヒーを飲もうとしたら―――



―――バンッッッ!!



いきなり、大きな音がして少しびっくりした。


「おやおやおやぁ?誰かと思えば稲村の喧嘩狼さんじゃない」

「こんなところで合うなんざ偶然だねェ」


 なんか、化粧の濃いお姉さん方に取り囲まれた。


「はぁ……」


 ため息をつく愛。


「休みの日に会えるなんて運がいいじゃないのさ」

「こっちは退院できてからってもの、アンタに会いたくてしょうがなかったんだ」


 ふむ、どうやら前に愛にやられた奴らみたいだ。


「ユウ。これで分かったろ?アタシが人間より動物が好きになる理由が…」

「まあな」


 動物は意味なく絡んでくることは…まあ、ほとんどないからな。


「で、このケバ子さん(?)たちは知り合いか?」

「さあ?」


 忘れていると言うより元から覚えていないみたいだ。そんな様子の愛に対してキレるケバ子さんたち。


「先月テメーにつぶされた『猫夜叉』だコラァ!」


 可愛いチーム名してるな、おい。


「まあいい。ユウ、ちょっと待っててくれ」


 ため息をつきながら立ち上がる愛。一気にキナくさい状況になってきた・


「今日はカレシとデートか?」

「軍団率いてねーとは油断したなァ」


 相手もメリケンだの鉄バットだのを持ち出した……ヤバいなこれは…。


「もともと売られたケンカは一人で買う主義だ………かかってこいやっ!」

「はい、ストップストップ。やめやめ」


 パンパンと手を叩きながら臨戦態勢の愛たちの間に割って入る。少し空気が変わった。


「ユウ。あぶねーぞ」

「ばーか、店ん中で暴れる方が危ないだろ」


 警察に動かれるだろうが、後々面倒くさいことになるからそれは俺としても避けたい。


「そっちも落ち着いたらどうだ?こんなところで暴れてもなんの特にもならないぞ」

「はあ?」


 愛目当てできたケバ子たちは、急に前に出た俺にきょとんとしている。


「まあ、今日のところはこれで済ませてくれ」


 財布を取り出した。


「お、おいユウ」

「いいから、俺に任せろ」


 制止しようとした愛に小声で言う。


「ここは俺に免じて、これで――」

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ