第拾話『二人での初仕事』
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してくれ」
「いいのか?」
「ああ。だって今日のアタシは稲村学園番長辻堂愛じゃなくて、ユウの従妹でクラスメイトの辻堂愛なんだから」
愛がそう決めたなら俺がこれ以上何か言うのは逆効果だ。一度決めたらそのことにしか集中できない、一途なんだよな……いい意味で。
手に持ったコーヒーを飲もうとしたら―――
―――バンッッッ!!
いきなり、大きな音がして少しびっくりした。
「おやおやおやぁ?誰かと思えば稲村の喧嘩狼さんじゃない」
「こんなところで合うなんざ偶然だねェ」
なんか、化粧の濃いお姉さん方に取り囲まれた。
「はぁ……」
ため息をつく愛。
「休みの日に会えるなんて運がいいじゃないのさ」
「こっちは退院できてからってもの、アンタに会いたくてしょうがなかったんだ」
ふむ、どうやら前に愛にやられた奴らみたいだ。
「ユウ。これで分かったろ?アタシが人間より動物が好きになる理由が…」
「まあな」
動物は意味なく絡んでくることは…まあ、ほとんどないからな。
「で、このケバ子さん(?)たちは知り合いか?」
「さあ?」
忘れていると言うより元から覚えていないみたいだ。そんな様子の愛に対してキレるケバ子さんたち。
「先月テメーにつぶされた『猫夜叉』だコラァ!」
可愛いチーム名してるな、おい。
「まあいい。ユウ、ちょっと待っててくれ」
ため息をつきながら立ち上がる愛。一気にキナくさい状況になってきた・
「今日はカレシとデートか?」
「軍団率いてねーとは油断したなァ」
相手もメリケンだの鉄バットだのを持ち出した……ヤバいなこれは…。
「もともと売られたケンカは一人で買う主義だ………かかってこいやっ!」
「はい、ストップストップ。やめやめ」
パンパンと手を叩きながら臨戦態勢の愛たちの間に割って入る。少し空気が変わった。
「ユウ。あぶねーぞ」
「ばーか、店ん中で暴れる方が危ないだろ」
警察に動かれるだろうが、後々面倒くさいことになるからそれは俺としても避けたい。
「そっちも落ち着いたらどうだ?こんなところで暴れてもなんの特にもならないぞ」
「はあ?」
愛目当てできたケバ子たちは、急に前に出た俺にきょとんとしている。
「まあ、今日のところはこれで済ませてくれ」
財布を取り出した。
「お、おいユウ」
「いいから、俺に任せろ」
制止しようとした愛に小声で言う。
「ここは俺に免じて、これで――」
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