第1部
第1楽章 内乱
第2話 開幕
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】】
「前進!」
男の掛け声と共に彼のレオポルドPSO戦車が前進する。2号車の陰を抜け、道路の中央に躍り出た。防御拠点では必死に友軍の兵士が応戦しており、その向こうでは雑多な火器で武装した民兵達があらゆる所で攻撃してきた。砲塔に搭載された同軸機銃が応戦し、曳光弾が空間を走り抜ける。瓦礫に弾痕を残すが、撃ち抜けない。
男は装填手用ハッチの後方に取り付けられた遠隔操作式銃座を操作し、それに取り付けられたM2重機関銃でコンクリートを粉砕し、敵をミンチにする。後続の車両も展開を完了し、攻撃を開始する。砲弾が遮蔽物を吹き飛ばし、銃弾が路面を叩く。
「横列隊形を組んで前進。拠点まで進め!!」
中尉のその言葉と共に、戦車小隊は進み始める。人の歩く速さとほぼ同じスピードでゆっくりと、だが確実に、だ。
時折、対戦車擲弾発射機を発射したと思われる煙と共に、ロケット弾が地面へと着弾し爆発を巻き起こす。部下の戦車が、敵が撃ってきたと思しき場所に砲塔を向け、徹底的に砲弾を叩き込む。その場所を特定するのは実に簡単だ。後方噴射炎を見つけ出せば良いのだから。
「シアン2-1よりストーン3-2。聞こえるか?」
【こちらストーン3-2。待ちくたびれたぞ、2-1!
直ちに敵を排除してくれ。これ以上は持ち堪えられそうに無い!】
「了解、掃討に移る。2、4号車は前進と後退を繰り返せ。敵を疲弊させるんだ。本車と3号車はそれを援護する!
有らん限りの弾薬を撃ちまくれ!!」
その号令と共に2匹の巨大な鋼鉄の獣は前進を始めた。それと共に反政府軍の攻撃が激しくなる。廃墟の中や影から銃撃してくるのだ。鬱陶しい事この上ない。
その時、500m先の建物の屋上から敵が対戦車ミサイルを撃ち込んできた。白煙が空中に浮かび、戦車の上部装甲の付近で爆発する。イスラエルの開発したアクティブ防護システムであるトロフィーのレーダーがミサイルを探知し、回転発射機から散弾銃のバックショット弾のような金属製ペレットを射出して、ミサイルを撃ち落したからだ。
使われたミサイルはM47ドラゴンだろう。通常のミサイルならば一直線に飛んでくるが、ドラゴンは構造上、左右に軌道がぶれる。
「11時方向、500m先の4階建てのビル屋上!」
男の号令と共に120mm滑腔砲が咆哮し、建物の一部を吹き飛ばし、そこに歩兵の銃撃が集中する。兵士達は建物の壁に穴を開け、そこから銃撃しており、制圧射撃で敵を釘付けにした後、無反動砲を叩き込んでいく。
だが、反撃もされる。ふとした瞬間、歩兵達が吹き飛ばされる。熱風と共に瓦礫などの破片が、彼らに襲い掛かるのだ。無残な物体が地面に横たわり、無事な兵士達が建物の中に重傷者を引き摺っていく。
お
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