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花集め
第四章
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た」
「花も虫もただそこにあるだけではないのです」
 王女は前を見据えてキャロルの言葉に答えた。
「花は見ている人を喜ばせ蜜をもたらせてくれます」
「喜びと蜜をですか」
「そして虫は蝶になりある虫は織物をもたらせてくれます」
 虫もであった。
「ただ。そこにあるだけではないのです」
「そうなのですか」
「何ができるか」
 王女はまた言った。
「そして何をもたらせてくれるか。それを見抜かなければなりません」
「それで姫様は花や虫を集めろと言われたのですね」
「その通りです。それが今をもたらせてくれました」
 また微かな微笑みと共の言葉だった」
「喜ばしいことに」
「花や虫も国を豊かにしてくれるのですね」
 キャロルはあらためてこのことを学んだ。
「ただ。そこにあるだけではなくて」
「その通りです。何ができるかを見抜くことが肝心なのです」
 王女はまたこのことをキャロルに話した。
「そこにあるものを見るだけでなく」
「それが政治というものなのですね」
「その通りです」
 王女はまた静かに答えた。今彼女はその虫の糸の織物を着て目の前の咲き誇る花園を見ていた。そこには蝶が舞っている。そのうえでキャロルと共に蜂蜜をたっぷりとかけた甘い菓子を食べていた。全てはこの国にあるもので彼女がもたらしたものであった。
 この国はこの三つの特産品と観光により国を豊かにさせ今でも小国ながら豊かで幸せな国と言われている。それを築き上げたプリシラ王女の名も残っている。その王女がもたらした功績をここに書き残すことにする。彼女の先見の明とその結果を人々に覚えてもらう為に。


花集め   完


                  2009・4・5

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