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裏生徒会と正しい使い方
第4話 床の色の種類と人の色の数
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放送室を使用するなんて信じられない。学校はあなた達のお遊技場じゃない」
 葉蓮は前を見ながら淡々と言った。
「それは知らなかった」
 峰年はクスリと笑った。
「姉のことも言われましたよ。お姉さんをもっと見習いなさい。学校の為に尽くしているでしょう?あなたがふざけたことをすることで、お姉さんにまで迷惑がかかる」
「迷惑をかけるのは、誰なんだろうね」
 仙翁は微妙な表情をした。
「まぁ仕方無い。昔から板チョコのことを叱る時はカレールーを引き合いに出すものだ」
 峰年はトラブルに遭遇したように肩をすくめた。
「あれって、どう返せばいいんでしょうね?」
 葉蓮が峰年のほうを向く。
「『姉が私を見習わないのが悪い』。咄嗟に浮かんだのはこれだな」
「却下で」
 葉蓮は即答した。
「お気に召さなかったか」
 峰年はフフと笑った。
「……ということでどうだ仙翁?」
 峰年は急に仙翁に話を振った。
「うっ、……『先生こそウーパールーパー辺りでも見習ったらどうですか』、かな?」
「うん、嫌いじゃない」
 峰年は満足気にニヤリと笑った。
「さっきのよりは気に入りました」
 葉蓮は無表情で言った。
「それで、仙翁は何を言われたんだ?」
 峰年は話を続けた。
「それが、何も言われなかったんだよね」
「……えっと担任は、梅臣(ウメオミ)先生だったよな?」
 峰年の確認に仙翁は「うん」と頷いた。
 名前は知っているしどんな人なのかは仙翁に聞いてはいたものの、峰年は梅臣について殆ど知らない。
 初老で白髪の男で、なんとなく優しそうな雰囲気はすれ違った時に感じてはいたが、その程度だ。
「ずっと先生の前で座ってて、先生は僕をずっといつもみたいに見てるんだよ」
「……それを、どれ位?」
「10分位、かな?」
「10分。ずっと。何も言わず。ただ見てるだけ」
「そうだね」
「それはなんともユニークだな。ユニークだが、いまいち伝わるものが無い……ぁ」
 峰年は急に顔に手のひらを当てて天を仰いだ。
「どうしました?」
 葉蓮は表情を変えずに尋ねた。
「……いや、これは妹の管轄だ」
「?」
「……」
 意味が伝わってない葉蓮とは対照的に、仙翁は妙に生暖かい視線を送った。
「……いやすまないいやすまない」
「まぁ、思いついちゃうのは仕方無いよね」
 仙翁は穏やかで優しい声を出した。
「そうだなうん。ゼンマイ駆動だろうと電動だろうと与えられたことをしっかり果たせばいいのだよそうだな」
「そんなに気にしてないよ」
「よし……」
 峰年はフゥゥと息を吐いた。
「盗浦先輩って、何人きょうだいなんですか?」
 ひと段落着いたところで葉蓮が尋ねた。 
「下に妹、更に下に弟がいる」
「へぇ、どんな人なんですか?」

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