第4話 床の色の種類と人の色の数
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所は今回の計画の失敗点だと思っている。善処するよ」
峰年は瀬礼戸の目を見た。
「はい、じゃあこの話はおしまい」
瀬礼戸は膝をパンと叩いた。
「では次に世間話でもしようか」
峰年はすぐ言葉を継いだ。
「そういうわけにはいかないんだよ。どっかの誰かが人の時間を食ったもんでね」
瀬礼戸はそう言うと椅子を回転させてパソコンに向き合った。
「やれやれ、だから私がその人に代わって時間の質を上げてやろうと言うのに……」
峰年はそう言いながらゆっくりと立ち上がった。
「今日は色々あった。祭りだと思うと愉快だが騒乱と考えると少し混沌が過ぎたように思う。周囲に居るのは観客ではなく赤の他人なのだ。そのことを理解していなかったばかりに花火を火薬の爆発として扱わせてしまった。これは確かに私達の責任ではある。そしてそれを総括した時、二の句となるであろう一言は、教師も大変なのだな」
峰年と仙翁と葉蓮は帰宅の途についていた。
今日はドタゴタがあったので部活もせずに帰ることにしたのだ。
「そんなこと考えてたんだ」
仙翁は苦笑した。
時間は4時位。学校から最寄駅まで15分程度歩く必要があるので、今はその過程を歩んでいる。
辺りには人がまばらにいるが、七弓中高の制服を着た人が多い。
峰年はその人の集まりをぼうっと眺めながら自分も七弓高校の制服を着ていることを再確認してミイラがミイラを観察する気分はこんな感じなのだろうかとふと思ったことがあることを思い出したところで頭の中を仙翁達の会話に戻した。
「まぁ私が教師だとしても私みたいな生徒は相手したくないな。フォークで味噌汁を飲まされるようなものだ」
峰年はニュースキャスターが芸能人の財布がスられた事件の原稿を読むように言った。
「あー、こっちは結構言われましたね」
葉蓮は空を見ながら独り言のように言った。
「えっと、君のとこの担任は……」
「木原です」
「あぁ、木原だったか。同情するよ」
峰年は先程よりは少し人間味のある声で言った。
木原は40代後半位の厚化粧の女で、自分の立ち位置を、尊大で荘厳な所から矮小で脆弱な所まで自在に行き来させられる技能を持っている。
「まぁ、あの人が担任になった時にある程度覚悟してたんですけどね」
葉蓮は上を見ながらのんびりと言った。
「なんであれ、大袈裟だろうがなんだろうが、これからも上のお世話になる予定ではある」
峰年は口笛でも吹きそうな軽い調子で言った。しかし、峰年は口笛が吹けないのである。
「あんまりやりすぎるのもよくないよ」
仙翁はやんわりとたしなめた。
「そうだな。だが、蹴った空き缶が線路に入れば大惨事だ。……で、木原はなんて言ってたんだ?」
峰年は顔を葉蓮に向けた。
「教師の許可無しに
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