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NARUTO 桃風伝小話集
その1
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何、やってるんだろうな、私。

サスケ君の家で、ミコトさんに促され、お風呂を勧められるまま、断り切れずに大人しく湯船に浸かりながらぼんやりと思う。
冷めて水滴になった湯気が、湯船のなかにぽちゃんと落ちる。

本当に、私、何してるんだろう。

なんだか、現実感が無さ過ぎて、ほわほわした感じがする。
お風呂の温度も温かくってちょうどいいし。
だけど、ここ、私の家じゃないのに。

人の、それもおじいちゃんの家ならまだしもここは、私の事を何も知らないサスケ君の家なのに、私、こんなに無防備に寛いでて、本当に良いの…?

答えは見つからない上に、もう既に私はお風呂を借りちゃってるし、今さらなんだけど。

でも、疑問と違和感とうしろめたさが胸に残る。

いくらミコトさんに全部ばれてるっぽくっても、私は一応、否定しなくっちゃいけなかったんではないだろうか。
だって、私が私の事を隠してるのって、火影様の意向って奴な訳だし。
湯船の中でぐるぐるとそんな事を考えていると、突然脱衣所の扉が開かれる音がして、私は思わずびくり、となった。
そして聞こえてきた声に、心臓が止まりそうなほど驚いた。

「おい、ナルト!俺の服、ここに置いといてやるからな!感謝しろよ!」
「え!?あ、え、う、うん!ありがとう!!」
「それと、俺の兄さんがお前にも忍術教えてくれるってさ!特別なんだぞ!だから早く上がってこいよな!」
「う、うん」

そう言うと、サスケ君はさっさと脱衣所から姿を消した。
だけど、私の心臓はばくばくと破裂しそうな程脈打っている。

「び、びっくりした…」

なんか、すっごく心臓に悪いんですけど、この状況。
というか、ばれてないみたいで良かった。
って、どうしてサスケ君がここに来るの。
ほんのちょっぴり戦慄した時、こんこん、と脱衣所の扉がノックされる音が聞こえた。

「は、はい!?」

思わず裏返った声で返事をしてしまった私の耳に、今度はミコトさんの声が聞こえてきた。

「ナルトちゃん?ごめんなさいね。サスケがここに来てびっくりしたでしょう?大丈夫?」

びっくりしたし、ごめんなさいは今のサスケ君の事何だろうけど、ちゃ、ちゃ、ちゃ、ちゃんんんん?!?!

「え!び、びっくりしなかったのは嘘になるけど、大丈夫だってばね!?」
「あら。ふふふ。あなたもクシナと一緒なのね。でも大丈夫だったなら良かったわ。だけど、本当にごめんなさいね。私が持ってこようと思ったのに、あの子ったら、話があるからって止める暇もなくここに来てしまって…。まったく、もう」

それはなんとなくサスケ君ならあるかもしれないけど、そんな事より、ミコトさん!

「あ、あ、あ、あの、ミコトさん!」
「あら、なあに?ナルトちゃん」

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