第三章
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ええわ」
「そやな。ほな」
「行こうか」
こうして三人でお墓参りに行くのだった。程なくして修一の家族の墓の前に来た。
「いっちゃん、お水」
「あいよ」
恒子は墓の前に着くとすぐに修一に水を運ばせにやった。墓には井戸がありそこから水を汲むのである。昔はそうした井戸が多かった。
「やあうちはお花な」
「墓石はこれで拭いてな」
修治は墓石を拭きはじめた。最初は空拭きで修一が水を汲んでくるとそれで濡らして拭いていく。それから三人で周りの草を抜いてあらためて墓石に水をかけた後でお花やお供えをして手を合わせるのであった。
「こうしてみるとすぐやな」
「ホンマやな」
恒子は旦那の言葉に頷いた。
「すぐやけれど。それでも」
「悲しいわ」
「おらんようになったからなあ」
今度は恒子が言う。やはり修一は何も言わない。
「兄ちゃん」
修治は墓石に対して声をかけた。
「寂しいないか?ホンマに」
「いっちゃんはここにおるから」
恒子も声をかける。
「元気にやってるからな」
「心配せんといてや」
『悪いけれどそうはいかんわ』
だがここで不意に声がした。
「!?誰や」
「御前この声は」
『わしや』
驚く恒子と修治にまた声がした。見れば修一はその声が誰のものかわかっているようであった。
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