SAO編
第一章 冒険者生活
8.裁縫職からの依頼
[3/11]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
それに、第一層ではクエストのクリアに気を取られてボス戦に参加出来なかったけど、今回はまだ二層が解放されてから三日目。クリアまでに時間がかかると言われても、一層ではボス戦までに一ヶ月もかかったし、二層のボス戦までには問題無く終われる、とわたしたちの誰もがそう思っていた。
「…………あ、甘かったッス……」
しかし、その予想は思いっきり裏切られた。
わたしたちにもたらされたのは《三つの悲劇》。
一つは、クエストを受けた瞬間。マッチョじいさんに顔にヘンテコな落書きされたこと。水場での洗顔コマンドでも落ちないそのペイントは、クエストを達成しなければ絶対に消えないらしかった。
わたしはクマドリを刻まれ、ネリーはくるくるほっぺ。レイアは黒ひげ危機一髪。そしてキリュウさんは……「どこの貴族様ですか?」と訊いてしまいそうな先っちょのハネているおヒゲだった。
わたし、ネリー、レイアはお互いの顔を見ながら三人で爆笑し、その後同時に溜め息を吐いた。
でも、いつも無表情でいるキリュウさんが、そのヒゲのせいで逆に更に威厳を出しているように感じてしまったのは少し、いやかなり可笑しかった。
二つ目は、クエストの内容。クリアまでに時間がかかるという話から、わたしたちは一層で受けた《雌牛の逆襲》というクエストを想像した。あのクエも村のあちこちを移動したりで時間がかかったけど、比較的楽なクエだった。だから今回も、ただ時間がかかるだけの簡単なクエストだと思っていた。
――実際には、時間がかかる上に、すっっっごぉく地味でツライ単純作業みたいなクエだったッスけどね……。
エクストラスキル《体術》獲得クエストの内容は、武器を使わずに素手だけで大きな岩を割る、というものだった。ひたすら殴って蹴って大岩の耐久値をゼロにする。一見かなり単純で簡単な内容だけど、大岩の耐久値は相当なものだったらしく、一時間続けて岩に変化が無いことで、わたしらも「あれ?」と思った。
壊れる物=耐久値がある物は、どんなものであれ、耐久値に合った状態になる。つまり、耐久値が満タンだったら新品同様な見た目だし、逆に耐久値が低ければその見た目はボロボロになる。なのにわたしらはともかく、あのキリュウさんですら、数時間攻撃をし続けても岩はうんともすんとも言わなかった。
結局、日が沈むまでに誰も岩を割ることは出来ず、その日は野宿となった。
そして次の日。わたしたちは大岩に再挑戦した。
そしてその次の日。わたしたちは大岩に再々挑戦した。
そしてその次の次の日……って、うがああああ!!
そんな感じで、わたしたち全員がクエストをクリア出来たのは、クエストを受けてから約七日後のことだった。このクエで何がツラかったかって、何度も何度も何度も何度も同じ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ