鬼と龍の兄弟は X
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「ただいま」
帰ってきた鬼炎は、宝石の入っていた袋にICのチップを入れて龍炎に渡した。その声に、いつものような張りはない。
その変化に気づいた龍炎が足を止めて振り返り
「シケた面してんな、鬼」
と声を掛ける。
「・・・ああ」
「どうした?警察に追われたとかか?」
そう聞いて、また「・・・ああ」と繰り返す鬼炎。
龍炎はそれを見て、ふ、と微笑み、刺青の入った右手を鬼炎の頭に乗せた。
刺青が蠢き、鬼炎の頭に蔓が絡みつく。
「ぅえ!?何だコレ!おい龍!」
急に絡まった草木に驚いて叫び声を上げる鬼炎に向かって、龍炎の一言。
「外で何があったか知らんが、辛気臭い面を家にまで持ち込むな馬鹿が。殺すぞ?」
その言葉に反応した鬼炎は龍炎の顔を下から睨み、「あ゛?やってみろよ」と低い声で凄んだ。
「俺に、勝てると思ってんのか?」
明らかにいつもと違う鬼炎に対し、薄ら笑いを浮かべた龍炎はしゃがみこんで拳をノリウムの床につけた。
「死にたいなら、手伝ってやるよ」
「はっ、ほざけ」
互いに睨み合って距離を詰める――――
「お邪魔しまーす」
「へえ、案外ボロくさい家に住んでるんだ」
若い男の声に鬼炎は目を眇めて「ああ、クソが・・・」と低く呟いた。
「誰だ、鬼」
そう尋ねる龍炎へと顔を向けずに「ぜルノさんとこ行く時に会ったやつ。あの宝石店で警備員を殺した奴らでもある」と、鬼炎は忌々しげに答える。
「せっかく殺さずに済んだのに、わざわざ殺したアイツらね・・・俺、拷問までならオッケーと思ってるから」
「了解。殺さないように捕獲するってことだよな」
それは、殺し合いに発展しかけた二人が団結した証。
それは、子供の頃から共に生きてきた二人の絆が再び繋がった証。
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