2ndA‘s編
第一話〜聞こえてきた<願い/叫び>〜
[3/3]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
るとして肉体はどうする?――――)
浮かんでは消えていく思考の波。それに待ったをかけたのは蒼月からの提案であった。
「マスター、ゆりかごに格納されていたデータ内に魔力によって編まれる魔導生命のプログラム体のデータがあります。それを応用すればこちらから肉体の無い別世界への干渉は行うことができます」
「――――あれ、思考流れた?」
「ここはそういう場所なのでは?」
蒼月からの提案に驚きを覚える一方、新たに沸いた疑問。それを尋ねるとなんでもないように返してくる蒼月にライは苦笑した。
「問題点はある?」
「こちらからの魔力供給を行うことで肉体を維持することはできますが、それの設定はあくまで肉体を実際に編んでみるまで細かい調節ができません。その為、私かパラディンの意識、どちらかをここに残しその設定を行わせなければなりません」
要するに蒼月が言うには、向こうの世界へ行くにはどちらかを置いていけと言っているのだ。それはライが魔導師としての力を十全に発揮できない事を意味する。
「魔力で編まれた肉体ということは、それは常に魔力がダダ漏れになっているってこと?」
「いえ、データによれば、魔力を元にプログラムを組むことで肉体を物質化する理論のようです」
「普通の人間と変わらないし、デバイスも同じく、ってことか」
合点のいったライは少し考える素振りを見せた後に告げた。
「パラディン、ここに残ってバックアップをお願い。蒼月は僕と一緒に声の主のいる世界に向かおう」
「イエス マイ ロード」
「ラジャー」
返される了承の声を聞き、ライは蒼月の言っていたプログラムの確認を始める。すると蒼月がちょっとした疑問のように訪ねてきた。
「しかしマスター、何故世界に直接赴こうと?声の主はCの世界を認識するまでには至っていませんでした。この世界を認識していないのであれば放っておいても問題はないのでは?」
「えっと、あー……」
その疑問に少しバツの悪そうにしてから、ライはポツリと答える。
「どんな形であれ、僕はそれを聞いて願われたから……それにその、見て見ぬ振りはしたくないというか……」
要領を得ない、寧ろ感情論に近いその『放っておけない』という意味の返答に蒼月は何故か納得してしまっていた。
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ