2ndA‘s編
第一話〜聞こえてきた<願い/叫び>〜
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分の意識を知覚した。
「蒼月、パラディン。頼んでいた作業は終わった?」
「「滞りなく」」
その意識はライと共にここに来た、彼の今の相棒である蒼月とパラディンである。2人はAIであったが為により強固な自我というものがあったのか、Cの世界内でもライよりも自由に動けることが出来ていた。
そしてライが2人に頼んでいたのは、その個々の自我の境界をより強固にする為の補助作業である。
「今から設定したプログラムを起動させます」
蒼月の音声が聞こえたと感じた瞬間、ライの“視界”が開けた。彼がまず見たのは透明なキーボードに乗る自分の腕、そして確かめるように視線を下げるとそこにはアッシュフォード学園の制服を着た自分の身体が見えた。
蒼月とパラディンと行った作業というのは、自分達の意識と周りに存在するモノのビジュアル化である。人間というのは、自分や他人を視覚で捉えることで確固としたその個体を認識する。それを意識内で行えるように頼んでいた結果がこれである。
ライは鮮明になった感覚を確かめながら振り向いた。
「2人とも助かったよ」
ライが振り向いた先には見慣れた2機のデバイスが浮いていた。ライの言葉に数度の明滅で答え、その2機は泳ぐようにしてライの首にペンダントしておさまった。
「さて、作業を続け――――」
『―――――――!!』
作業に戻るためにキーボードを叩こうとした瞬間、その意識がライの脳裏に響いてきた。
反射的に辺りを見回すが、この空間でそれが無意味であることを察したライは目を閉じ自己の意識に埋没するように自分に干渉した意識を探る。
響いた声は何かを必死に懇願している。それを汲み取るように、聞き取ろうとするとその言葉がハッキリと聞こえた。
『私はどうなってもいい。だから、優しきこの主を誰か救ってくれっ!』
掠れるようでいて、そのくせやけに響いてくる女性の声。その声を意識するとライは唐突に理解する。彼女のいる世界に干渉できることに。
「馬鹿な……」
呆然と呟く。Cの世界にただ念じるだけで干渉し、更には特定の人物に要求を聴かせることができるほどの強気思念。それを行った存在がいた事にライは純粋に驚いた。
「マスター、先ほどの声は?」
「2人も聞こえたのか?」
ライの質問に首のペンダントは発光で答える。その返答にライは頭を抱えそうになる。
(僕たちに干渉してきたということは、声の主は僕たちの世界にもCの世界に干渉することができるのか?だとすれば、次元世界との関わりを絶っただけでは、一度干渉した僕をトレースすることで再接続される可能性は?ゼロではない。寧ろ禍根を残さずに原因を突き止めるべきか?だが、世界に干渉をでき
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