第三章 始祖の祈祷書
第四話 錯綜する思い
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ら、し、シロウはどう? 行かない?」
「ん? 俺か、いや、遠慮しておこう。俺はルイズの使い魔だからな。ルイズから遠く離れるわけにはいかないからな」
士郎がそう言うと、キュルケは一瞬寂しげな表情を浮かべたが、何かを思いついたのかニヤリと笑うと、ルイズに近づいていく。
ルイズの横まで来たキュルケは、戸惑うルイズに顔を近づけると、士郎に聞こえないように小さな声で囁きかけた。
「あなたシロウと喧嘩したんでしょ。で、今はどうやって仲直りしようか考えているところよね? どう、外に出てみたら気分も変わって自然と仲直り出来るわよ」
「……そんな都合良くいくわけないわ」
「なら、あなたこのままでいいの? このままだとシロウをあの子に取られちゃうわよ?」
「むっ……」
ルイズは何か考え込むように顔を俯かせると、渋々といった感じで顔を上げてキュルケを見上げる。
「ま、まあ。気分転換も大事よね。別に詔を考えるのはどこでも出来るし」
どこかわざとらしく声を上げるルイズを、何か不思議なものを見るかのような目で見た士郎は、苦笑いしながらキュルケに振り向いた。
「すまないなキュルケ。どうやってルイズを説得したのかわからないが、ルイズが行くと言うのなら俺も行きたいんだが、いいか?」
「えっ、ええっ! もちろんよっ!! 頼りにしてるわシロウっ!」
「……そう言えばキュルケもシロウを狙っていたわね……くっ迂闊だったわ……」
「? ルイズどうかしたか?」
キュルケが士郎の問いに、妙にハイテンションな調子で答えるのを見たルイズは、そこでキュルケも士郎を狙っていることを思い出し、苦虫を噛み潰したかのような苦々しい声を上げる。その様子を見た士郎がルイズに声を掛けてきたが、ルイズはそれに曖昧に笑い、首を振って答えただけだった。
キュルケは浮き浮きとした表情を浮かべて士郎たちに振り返ると、士郎たちに指を突きつける。
「出発は2日後の朝よっ! しっかりと準備しておきなさいっ!」
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