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剣の丘に花は咲く 
第三章 始祖の祈祷書
第四話 錯綜する思い
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か?」 
「あ、あの時は、その暗かったので……それに……そんなにじろじろ見れなかったし……」 
「ん? 何だってシエスタ?」
「えっ!? いっ、いえっ! 何でもあり……ま……せ……」

 士郎の疑問に俯いてぼそぼそと答えたシエスタだが、声がよく聞こえなかった士郎が聞き返すと、慌てた調子で顔を上げて士郎に向き直った。しかし、真っ赤な顔をしたシエスタが士郎に何かを言おうとしたが、シエスタは士郎の上にまたがって服をまくり上げている今の自分の状態に気付くと、言葉は尻すぼみに消えていった。

「シエスタ?」
「あっ……」

 シエスタの様子がだんだんとボーッとしていくのを見た士郎は、その様子に何故か嫌な予感を感じ、出来るだけシエスタを刺激しないよう、穏やかな口調で声をかけたが、シエスタは全く何の反応を示さなかった。
 その様子に、ますます嫌な予感が大きくなった士郎は、若干焦った様子でシエスタに声をかける。

「し、シエスタ……す、すまないがちょっとどいてくれないか?」
「シロウさん……」
「ちょっ!? ちょっとシエスタっ! ぎゃくぎゃくっ!!?」

 士郎はシエスタが段々と自分の方に向かって倒れて来るのを見ると、焦った様子で声を上げたが、シエスタは士郎の声に何も答えずゆっくりと士郎に向かって倒れていく。
 その様子に慌てた士郎は、近づいて来るシエスタの肩を慌てて掴むと、必死な様子でシエスタに声をかけた。

「おっ落ち着けってシエスタっ!! ちょっと目が尋常じゃないぞっ!!?」
「……っ……はぁ……」
「お、おいおい……」
 
 
 ここから冒頭の場面に繋がるのだが、本当に士郎は今、かなり真剣に焦っていた。
 確かに今の状況に焦るのは分かるのだが、しかし、士郎はシエスタに押し倒されていること事態そのものではなく、他のことに焦っているのだ。
 それは……士郎は今までの経験で、こういう時に限ってやってくることを知っているからだった……

「……っゴクッ……」
「し、シエスタ……ちょっ、ちょっと待て」
「はっ……ぁっ……はぁっ……」
「いっ息が荒いぞ……だから落ち着けって……」
「はぁ〜っ! はぁ〜っ! はぁ〜っ!」
「だから落ち着けってっ!!??」
 
 士郎が声を張り上げた瞬間、物置小屋のドアが爆発した様な勢いで開いたかと思うと、ルイズが弾丸のように飛び込んできた。

「シロウっ!! ……何……やっているのかな?」
「る、ルイズ……」
「あっ……ミス・ヴァリエール……」

 ルイズが物置小屋に飛び込んでくると、今まで士郎の声に全く反応しなかったことが嘘のように、すぐに正気を取り戻したシエスタは、士郎の上から起き上がると、服をいそいそと整え、ぺこりとルイズと士郎に交互に頭を下げると、ルイズの
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