第三章 始祖の祈祷書
第四話 錯綜する思い
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響いたが……それに答える者は、今の広場にはいなかった……
キュルケがルイズに話しかけていたその頃、士郎はとある危機の真っ只中にいた。
そこは学院の塔の外にある、人気がない場所に建っている物置小屋であった。物置小屋であるが、高さは三メイル以上あり、普通の一軒家ぐらいの大きさはあるが、中は埃くさく、明かりといったら壁の隙間から漏れる光以外の明かりがない。そんな薄暗い物置小屋の中、士郎は……シエスタに押し倒されていた。
士郎の服は捲り上がり、その傷だらけの浅黒い肌が露わになっている。そして、仰向けに倒れた士郎の上には、顔を上気させ、どこか惚けた……というよりも完全に『イっちゃっている』目をしたシエスタが、息を荒げまたがっていた。
シエスタはちょうど士郎の下半身……ぶっちゃけ股間の上にまたがると、士郎の服をまくり上げた状態でその傷だらけの身体を見下ろしていた。
「っぁ……ゴクッ」
「し、シエスタ……ちょっ、ちょっと待て」
「はっ……ぁっ……はぁっ……」
「い、息が荒いぞ。だから落ち着――」
「はぁ〜っ! はぁ〜っ! はぁ〜っ!」
「だから落ち着けぇ!!??」
どうして士郎がこんな状況に陥ってしまったのかいうと、この日のお昼過ぎ、士郎がシエスタに声を掛けたのが切っ掛けであった。その頃、士郎が学院の廊下を歩いていると、廊下の向こうから、ふらふらとガラクタの山が歩いているのを見つけた。その光景にどこかデジャヴュを感じた士郎は、歩く歩調を上げて近づくと、やはりというか何というか、そこには、以前見た時と同じように、大量の荷物を抱えたシエスタがいた。
「シエスタ。一体何なんだこれは?」
「あ、あれ、えっ!? シロウさんっ! 何でここに?」
士郎が苦笑いしながら、ガラクタをシエスタから取り上げて声を掛けると、シエスタは一瞬呆然とした表情を浮かべた後、顔を真っ赤にさせながら驚きの声を上げた。
「いや、特にこれといった理由はないんだがな。ところでシエスタ、これはどうするんだ?」
「えっ? あ、それですか? それは外の物置小屋まで持っていって大きさごとに分けるそうです」
「物置小屋までか……遠いだろ。俺が持っていくよ」
「そっそんなっ! 大丈夫ですっ! シロウさんに迷惑をかけてしまいますっ!」
士郎はシエスタから、ガラクタの行き先を聞き出すと、そのままそれを持って行こうとしたが、シエスタは士郎の外套を掴んで引きとめ、顔を左右に振って士郎を止めようとした。しかし、必死に士郎を止めようとするシエスタの様子を見下ろした士郎は、ガラクタの山を器用に片手で持つと、もう一方の手をシエスタの頭に置いて笑った。
「いや、このぐらいで
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