第三章 始祖の祈祷書
第四話 錯綜する思い
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う子のように料理の腕だってない……。
何かないかと思って、趣味の編み物をやってみてはいたものの……
「はぁ……ほんっと、わたしって才能ないなぁ……」
わたしが自分の“作品”を見つめてため息を吐いていると、急に肩を叩かれたわたしは、ビクッと体を震わせ、手に持った“作品”を胸に押さえつけるようにして隠しながら慌てて振り返った。
振り返ると、目の前には、わたしの大げさな反応にびっくりした顔をしたキュルケがいた。
「なっ、何よキュルケ。何かよう?」
「え? えっと、別に特に何かっていうわけじゃないのだけど。ちょっと聞きたいことがあっただけよ」
わたしが“作品”をキュルケから見えないようにゆっくりと移動させていると、キュルケの視線がわたしの隣り、“始祖の祈祷書”に移った。
「? 何よこれ?」
「あっ」
キュルケはわたしが止める間もなく“始祖の祈祷書”を取り上げると、パラパラとページを捲っていく。
「何なのこれ?何も書かれてないじゃない? ゴミ?」
「なっ! なんて事言うのよキュルケっ。これは“始祖の祈祷書”よっ、聞いたことぐらいあるでしょっ! 国宝よ国宝っ!」
「えっ?」
わたしの言葉に驚いたキュルケは、持っていた“始祖の祈祷書”を手からポロリと落としてしまう。
「っっっ!!??」
キュルケの手から落ちた“始祖の祈祷書”を、何とか地面に落ちる前に確保したわたしは、流れる汗を拭うと、キュルケに食ってかかろうとした。しかし、いつの間にかキュルケは、“始祖の祈祷書”の代わりにわたしの“作品”を手に持っており、それに気付いたわたしは、思わず体が固まってしまった。
「きゅっ、キュルケ……」
「何でそんなものルイズが持っているのよ?」
「い、いや、それよりも」
「あっ……そう言えば、トリステインの王家の結婚式で始祖の祈祷書を使うって聞いたことがあるわね」
「だからキュルケ」
「あなた、確かトリステインの王女と仲が良かったわね? もしかして、今度の結婚式であなた何かやるの?」
「いやだからっ! わたしの話を聞けぇぇぇっ!!!!」
「何よ?」
キュルケは、いつの間にか手に持っていたルイズの“作品”を弄びながら、ルイズが始祖の祈祷書を持っている理由を推理している。しかし、自分の隠していた“作品”を、いつの間にか手に入れていたキュルケに戸惑っているルイズには、その言葉は届かなかった。
何度もルイズがキュルケに話しかけるも、全て無視されたルイズは、ついに切れて叫び声を上げてしまった。そこでやっとルイズの言葉に気が付いたキュルケは、突然大声を上げたルイズに、訝しげな表情が浮かんだ顔を向けた。
「そ、それ……どうしてあなたが持ってるのよ……」
「ん? これ
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