第十一話 想う
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その土煙の下には大きなクレーターが出来ていた。さきほどまで鬱蒼と何メートルもある木が生えていた森は跡形もない。木は吹き飛び、土は掘り返され、えぐれていた。
何が起きたのか?
そんなのはこれ以上になく、明白だ。
ー地面が爆発した。
僕たちがー第88小隊と第79小隊が あさのは隊長の合図で地面に降り、状況を確認していた時にそれが起きた。
あの時、僕は誰かがこちらに近づいてくるのが何となく分かった。それも一人じゃなく、複数で。
それを あさのは隊長に伝えて、その場を離れたかったが隊長は僕の言うことを信じていなかった。
当たり前だ、ついさっき言い合いをしたばかりだし、何の根拠もなく、術を使っていると言うわけでもなく、“敵が来た”なんて言葉を信じるはずがない。
ー何より、時間がなかった。
何かがー敵がー近づいてきたことに気づいたのはけっこう近くになってからだ。隊長達を説得して、その場を離れる時間なんてなかった。
・・・あったことを思い出している場合じゃない。
爆発で吹き飛ばされ、どこかで全身を強く打ったらしく全身が骨折しているのではないかと言うくらい痛い。でも、爆発に巻き込まれた割には火傷をしていない。
どういうことだろう?
とにかく、痛みを我慢して周りを確認する。
舞い上がった土煙が少しずつ落ちてきているのか、視界が少しずつ悪くなっている。
目を凝らして、誰かいないかと探す。
自分から2時の方向に2つ倒れている影が見えた。
!?
誰か倒れている。
全身の痛みをグッと我慢して影の方に走り寄る。
そこには無傷とは言えないが、概ね軽症と言える程度の怪我をした ハナと カタナがいた。
でも、少しおかしい。
ううん、少しじゃない。とても信じがたい光景だった。
倒れている二人は、青い炎に包まれていたのだ。
燃えている・・・そんな感じではない。
僕は・・・この炎を知っている。
あの夜ー両親が死んだ夜に見た炎だ。
何故だか分からない、でもこの炎が二人を守ってくれた。
そう感じた。
青い炎は風で揺れる事もなく、その場でゆらゆらと二人を包み込んでいる。僕がそれに触れようとすると、ふっと消えた。
この炎は一体、何なんだろう?
僕に関することなのか。
分からない、何も手掛かりがない。
そんな場合でもなかった。
僕は二人に話しかける。
「ハナ! カタナ! 大丈夫?!」
ハナの身体を揺すりながら、二人に声をかける。
「「んん、うぅ・・・」」
二人とも反応があった。
よかった・・生きてる!
炎が守ってくれたのだと感じても、不安で不安でどうしようもなかった。もし、僕
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